Latest Entries

このブログについて

2004年から現在まで、原付・小型二輪・自動車で日本各地およびオーストラリア、ニュージーランドを旅行・ドライブしながら得た道路や交通事情に関する知識を元に運転マナーや道路事情について書いていくブログです。交通工学を専門したわけではないので、真に専門的なことについてはわかりませんが、現在交通工学や海外の道路事情についても勉強中です。

ここ最近では主に日本における道路事情や運転マナーにおける問題点を中心に書いていきます。オーストラリア、ニュージーランドでのドライブ経験もあるので、外国と日本との道路事情比較もします。

現在の日本の道路事情は様々な問題を抱えているにも関わらず、その問題を改善しないどころか全く触れようとしません。また、日本の道路環境は諸外国に比べて非常にストレスフルであり、快適に運転できるとは程遠い道路環境があります。主にその問題の指摘や改善点について個人で思うことを書いていきます。

当サイトで使用している画像や動画は、記載がなければ僕個人が撮影したものです。表グラフや資料なども同様です。
画像、表やグラフ(僕個人が作成したもの)は無断使用しないでください。使用する場合は、コメントをお願いします。
当サイトへのリンクはフリーです。相互リンクなど希望の場合は、こちらの記事にコメントしてくださると幸いです。


日本の道路の問題点その2【使われない有料道路と混雑する一般道路】

日本の道路の問題点について考察します。前回は高速道路とバイパスを建設する二重投資について、国道23号の南勢・中勢バイパスを例にあげました。今回の問題については、前回の南勢バイパスと伊勢自動車道についての部分でも言及しましたが、もう少し詳しく扱っていきたいと思います。

建設されても使われない有料道路
一般的に、高速道路やバイパスが建設されれば並行している一般道の交通量の多くがそちらへシフトし、一般道の交通量が減少します。
交通量が減少すれば渋滞が解消し流れがスムーズになります。車の絶対数が減るため、付随して車・歩行者、自転車の交通事故の件数も減少します。また、バイパスや高速道路にシフトすることで、通過交通における旅行速度も向上します。


ところが日本の道路の場合、そのバイパスや高速道路が有料道路になると、交通量がシフトせずに、並行する一般道の混雑が解消されないというケースが多くあります。

使われない理由は、多くの人達が有料道路を敬遠するからです。特に高速道路の場合は料金が高いため、高いお金を払って移動するよりも時間がかかっても一般道を利用した方が良いと考える人が多いからです。

具体例1:神戸淡路鳴門自動車道
わかりやすくするために、具体例をいくつか上げていきます。1つ目は神戸と徳島を結ぶ神戸淡路鳴門自動車道を例に上げてみていきます。この高速道路は全線が片側2車線で有料道路なのですが、鳴門大橋と明石海峡大橋の部分の料金が高いため、他の道路に比べても料金水準が高いのが特徴です。

Wikipediaには、神戸淡路鳴門自動車道を利用して淡路島を通過する貨物トラックはその自動車道の通行料金が割高であり、その出費を抑える為に、西淡三原IC - 淡路IC間は国道28号に降りるのが見受けられる。そのことによって、渋滞や交通事故が発生し、更に車重による路面状態の悪化や排気ガスによる汚染が顕著である。この現象は、兵庫県道31号福良江井岩屋線(淡路サンセットライン)においても同様である。という記述がなされています。
引用:Wikipediaより

つまり、走りやすい自動車道があるにも関わらず、料金を節約するために橋の部分以外は一般道を利用している車(トラック)が少なくないということですね。それによって一般道が渋滞したり、事故が起きたり道路環境が悪くなっているということです。この淡路島の道路ですが、国道28号は比較的整備されていますが、県道31号は集落を走る区間が多く、中長距離を移動する道路としては全く適していないです。28号線にしても基本的に片側1車線で、市街地や集落を走る区間が多いです。
にも関わらず、そのような道路に通過交通が流入しているということです。
hyougo31.jpg
淡路島の県道31号。ここを通過するトラックが走っている。

なお、これは淡路島だけに限らず四国側でも同じことが起きているようです。どういうことかといえば、例えば高松方面へ行く場合に、鳴門北か鳴門インターで降りて、そこから高松道を使わずに国道11号を使う車がいるということです。橋を渡ってから、料金を節約するために一般道を走るということです。

ちなみに神戸淡路鳴門道の交通量は1日当たり平均2万台で、全く利用されていないというわけではありません。この自動車道は全線片側2車線ですが、片側2車線あれば4万台までは十分捌けるレベルです。その半分程度の交通量ということは、あまり利用されている部類には入らないでしょう。
E28highway.jpg
淡路島道を縦断する神戸淡路鳴門道。通過するだけなら走りやすい高速道路を選ぶが普通だが、そうなっていない。

具体例2:木曽路と中央自動車道
中津川から岡谷・諏訪にかけての中央道・長野道と国道19号です。ここは社会問題にまで発展した地域で、問題点を上げると単に高速道路が利用されていないだけにとどまりません。

具体的にはトラックが中央道を避けて国道19号を利用し、さらに制限速度を大幅超過して走行したり、追い越し禁止区間で追い越したり、低速車に対して煽り運転を行うなど危険運転が問題になったことです。また、それに付随して交通事故も増え、沿線に住む住民にとって大きな悩みの種になったということです。

細かいことについてはこちらの記事に書いたので参考にしてください。

この区間については並行する中央道は交通量の平均は約2万台~3万台と、それほど少ないわけではありません。しかし、本来中央道を利用すべき自動車が国道を利用して料金を節約しているという点においては問題であり、有料道路が有効活用されていないどころか、並行する国道19号の道路環境を悪くしているという点においては大きな問題を抱えている場所です。
Kisoro8.jpg
高速の迂回路にされている国道19号、木曽路。全体的に走りやすい道路ではあるものの、1車線で集落の中を通過する区間もあるため、長距離移動には適していない。

具体例3:秋田自動車道と国道7号
秋田市近郊の国道7号線と秋田自動車道です。ここは使われない有料道路の典型ともいえる場所です。無料の国道は比較的多くの車が走っているのですが、並行する秋田自動車道は交通量が少なくガラガラです。秋田道は秋田より北側になると、交通量が1万台を下回り北進するにつれて減少します。秋田市近郊ですらも1万台を超えるか超えないかのレベルで、走っただけでも高速道路が使われていないのがよくわかる場所です。

ここに限らず、比較的人口の少ない地域の高速道路、北東北の東北道や八戸道、北海道の道央道や、南九州の東九州道などは似たような状況です。

Route7 akita
E7akita.jpg
国道7号と並行する秋田自動車道。一般道の交通量は多いが、高速道路の交通量は少ない。

なお、国道は地元の住民が利用するから交通量が多いのは当然で、高速道路は通過交通自体が多くないから少ないのは当然と言う人がいると思います。確かにそうなんですけど、ここの場合、通過交通すらも国道を利用しており、短距離利用から長距離利用まですべてを国道が分担しているということです。長距離を移動するトラックが結構走っている状況を見ても、おそらくそうなんじゃないですかね。

秋田自動車道ですが、交通量が少ないとはいえ人口希薄地帯でもないのに、この交通量(自動車道がガラガラという状況)はいくらなんでも少なすぎです。
おそらく秋田道は本当に急いでいる人か、高い高速料金が負担にならない人だけが使っていると考えて良いですよね。ちなみに、この区間は2010年に無料された際に、交通量が1万台を超えた記録もありますから、無料化すればちゃんと利用されるということが実証されています。逆に言えば料金が高いから利用されていないことも実証されています。

秋田道の交通量はWikipediaを参考。

3つ具体例を上げましたが、全国的に有料道路と国道が並走している場所では多かれ少なかれ起きている現象です。特に地方において顕著なのですが、大都市圏でも同じようなことが起きています。大都市圏の場合、高速道路の交通量も多く一般道の交通量も多いからわかりにくいと思いますが、それでも高速料金を節約しようとして、一般道を走る車はいるし、有料道路を敬遠する人が多い傾向はやはりあるでしょう。渋滞がひどいから、その傾向は地方に比べれば少ないというだけです。

例えば東京~静岡でも首都高速や東名高速を走らずに国道246号と国道1号などを使う車が多くみられます。トラックなどが多く、行程の全路線を一般道しか使わない車もいれば、部分的に高速道路を使う車が見られます。また、日中昼間は混雑するからと、夜間の空いている時間帯に一般道を通過目的で利用する車もいます。



高規格道路が使われないことによる弊害
これの何が問題なのかといえば、せっかく建設した高速道路やバイパスなどが有効活用されずに、一般道を利用する車が減少しないということです。単に有効活用されないだけでなく、渋滞は解消されないし、自動車同士や歩行者、自転車との交通事故は増えるし、排気ガスの増加で環境は悪化するしで、様々な弊害をもたらすということでもあります。

また、一般道は高速道路や高規格のバイパスに比べて移動に時間がかかるし信号で頻繁に停止するため、後者に比べるとストレスがたまります。それに起因してマナーの悪いドライバーが増えるということもあると思います。短中距離移動ならまだしも、長距離移動で一般道を使うとなれば、できる限り早く移動したいにも関わらず移動できないわけですから、イライラして運転が荒くなるドライバーが増えるのも当然ですよね。

さらに、前の記事でも扱いましたが高速道路が建設されてもそれが使われておらず一般道の混雑が解消されないために、高速に並行してさらに高規格のバイパス道路を建設しているという二重投資をしている始末です。


使われない原因は、その有料道路の料金水準が高すぎるのが原因です。これがこの問題の元凶といってもよいでしょう。高すぎる料金のせいで、一体どのくらいの損失をもたらしているか?と考えると、その程度は単に使われていないという以上に相当なものになると思います。百害あって一利なしですが、百害どころか千害くらいあるんじゃないですかね。

高すぎる日本の高速道路料金、海外ではありえない。
この高速道路の料金水準は海外と比較しても異常な水準であり、日本人のみならず外国人も高すぎると醜評するレベルです。

2017y09m19d_110441795.jpg
2017y09m19d_110457373.jpg
引用:「諸外国における高速道路の料金の動向」国土交通省より

日本の料金水準は、普通車が24.6円/km~29.52円/kmで、一部区間はこれよりも割高になり、中型車以上の車はこれの1.2~2.65倍の料金になります。欧米との比較では、スペインは乗用車が1km当たり15円と高いですが、それでも日本よりは安いです。それ以外の国はフランス以外は1km当たり10円以下の水準です。単純に乗用車だけで比較してもどの国でも1km当たり約10円程度の差があります。

ただし、日本の高すぎる料金水準について取りあえると、必ずしもそうでないという意見もあります。








日本の場合、税金を使って建設していない点と高架やトンネルが多いうえに、耐震対策も必要なため建設費用がかかるから高い料金を徴収する必要があるということですね。
まあ確かにこれは納得できる部分が多いでしょう。それに高速道路料金が安くても、車に関わる税金が高いとか、ガソリン代が高いとか、そもそも車の値段自体が高いとか、保険料も高いとか、他の部分が高いから諸外国と比較しても結局たいして変わらないということもあります。

ちなみにオーストラリアはどうかといえば、基本的に大都市近郊を除けばほとんど無料で、数少ない有料区間も値段自体は日本に比べれば圧倒的に安いです。車の価格は中古車でもかなり高いですが、それでも個人取引では20万や30万程度で購入できる車もあるし、オンボロ車でも良ければ、車の購入にかかるコスト自体も減らせます。税金や保険うんぬんはあまり詳しくないですが、少なくとも外国からワーキングホリデーで来ている人達(基本的にお金の面では余裕はない人達)が普通に車を所有していることを考えると、そこまで極端に高いわけではないでしょう。

それと単に高速道路や自動車の税金うんぬんだけでなく、それ以外の物価水準であったり収入であったりも考慮すると、また見方が違ってきます。オーストラリアの場合は物価は高いですが、生活必需品(食料品など)は日本以上に安いです。税金も日本に比べれば安いですし、高いといわれる居住費もシェアにすることで低くすることができます。同時に、最低賃金はバイトですらも時給1500円とかのレベルで、正規社員であればそれよりもっと高くなるでしょう。これはどういうことかといえば、物価は高いけども、実は生活するだけならそんなにお金がかからず、しかも収入も多いということです。

そこに車にかかる負担を考慮しても、ある程度生活レベルの高い人達からみれば、それほど大きな負担にはならないでしょう。高速料金が1区間700円だとしても、向こうの人達からすれば、100円くらいの価値になるでしょう。
欧州は知りませんけど、オーストラリアはこんな感じで、少なくとも日本に比べれば、高速料金の水準は圧倒的に安いです。

一方で、日本より安いといわれる中国や韓国の高速料金も、向こうの物価水準と照らしたら一概に安いとはいえません。中国に関しては、中国人からしてみれば高すぎるという意見もあるほどです。


日本の場合はどうかといえば、保険料や税金、年金の負担などは安くないし、物価も基本的に高いです。一方で最低賃金も正規社員の給料もここ最近の傾向を見ると、他の先進国と比べると高くなく、むしろ低いとさえ言われることもあります。

そこに車の負担を加えると、その負担が決して低いものとは言えないでしょう。高すぎて高速道路を利用できないという人もいるし、1区間700円だとしても、相当な負担になるという人も多いでしょう。
現に高速料金を節約するために一般道を走る人が多い現状もあるわけですし、実は他の国と比較するとこうだと言われても、統計その他うんぬんを取って説明されても、庶民の感覚では大多数が高いという認識を持っているのであれば、やはり日本の高速料金は高いでしょう。
同時に、上記のような問題もあるわけですから、やはり今の料金水準は是正した方が良いでしょう。

料金水準の是正はどうすれば?
もちろん無料化するのが一番ですけど、話はそんな単純ではなくて単に無料化すればよいってものでもないでしょう。東名や名神のように無料化すれば、かえって交通量が増えてしまい、首都高速のように常に渋滞してしまうことにもなるでしょう。どこを無料化してどこを有料化するかはより細かく検討していく必要があると思います。また、無料化にこだわらなくても、料金水準を下げて利用しやすくするという方向性も良いでしょう。極端な話、1km当たり1円の料金水準にして100km走って100円とかでも良いわけですよね。走行距離化金制度とかもあるし、考えうる対策はたくさんあります。

ただし、何か理由をつけて現行の料金制度を維持したり、有料区間を増やしたり値上げするなどは愚の骨頂です。道路の有料化にしても、よほど説得力のある意見がなければ受け入れられることはないでしょう。明らかに言えることは日本が抱えている諸問題を解決するために、高速道路や有料道路の料金水準を是正する必要があるということです。

日本の道路の問題点その1【中勢・南勢バイパスに見るバイパスと高速道路の二重投資】

今回は三重県の中勢・南勢バイパスについて書いていきます。タイトルにもあるように、ここの道路事情は日本の道路が抱える問題点の典型ともいえる場所です。

中勢バイパス南勢バイパスについて
まずこの2つのバイパスについてですが、これら路線は国道23号のバイパスとして計画、建設された道路です。それぞれどのようなバイパスなのか基本的な部分を書いていきます。

南勢バイパス
三重県松阪市と伊勢市(伊勢神宮)までを結ぶバイパス道路で、1975年というかなり早い時期に全線開通した道路です。伊勢神宮へのアクセス道路でもあり、伊勢と松阪間の幹線道路の1つとしても機能しています。
その後、全線が4車線化され、伊勢市内では6車線化もされており、かなり高規格の道路として整備されています。


r23 ise
伊勢市内の国道23号南勢バイパス、片側3車線の道路が続く。

2017y09m11d_093932795.jpg
伊勢市を超えると片側2車線になるが、それでも走りやすい道路が続く。一部で立体交差あり。

中勢バイパス
p001s.jpg

つづいて中勢バイパスですが、このバイパスは松阪市と鈴鹿市を結ぶ国道23号のバイパスです。並行する国道23号は全線片側2車線以上の道路ですが、混雑がひどいため、新たに郊外を通過するバイパスが計画されました。

このバイパスですが、2017年現在では南側の松阪市~津市、具体的には南勢バイパス終点から三行上野線交点までが断続的に開通しています。幹線道路としての機能があるのは南勢バイパス~国道306号までです。(松阪・津から亀山方面へ向かう車が多く、国道306号交点で多くの車が国道306号へ行くため。)2018年には亀山鈴鹿線まで繋がる予定です。つまり、来年にはバイパスのほぼ9割が完成していることになります。

ただし、これは暫定開通で現在では全線が対面通行です。4車線化となるとまだ随分先の話になるようです。

この中勢バイパスですが、沿線の一般道の混雑緩和には貢献したようですが、バイパスに交通量が集中しすぎたため、バイパスで醜い渋滞が発生しています。交通量の多さと対面通行なのに加えて、ところどころに信号付きの平面交差があるのが原因で、対策が必要な状況です。
2017y09m11d_095222586.jpg
対面通行の中勢バイパス

ちなみに将来、中勢バイパスが4車線で開通すれば、伊勢市から四日市市まで断続的にバイパスで結ばれることになります。

2つのバイパスの問題点【高速道路と並行するバイパス】
これらバイパスにはいくつかの問題点があります。混雑緩和のために建設されている道路の何が問題なのか?と言われそうですが、ここではその問題の1つについて書いていきます。サブタイトルの通りバイパスと高速道路の関係についてです。

・バイパスと高速道路の二重投資であるということ
これはどういうことかといえば、伊勢~鈴鹿までのバイパスと伊勢自動車道の二本の道路が必要だったのか?ということです。





参考ツイート

それぞれのバイパスと自動車道について書いて言います。

中勢バイパスと伊勢自動車道
確かに国道23号は交通量が多い道路なので、バイパスを建設する必要があるのですが、並行して伊勢自動車道が走っているのに、そこにさらに並行してバイパスを建設するのか?ということです。
伊勢自動車道は有料道路であり、地域交通のための道路ではないから、別にバイパスが必要だと考えれば、確かに納得はできます。しかし、そもそも論として有料とか無料とかで分けるのでなく、伊勢自動車道があるのだから、わざわざ建設コストをかけて新しい道路を建設しなくても、伊勢自動車道を有効活用すれば混雑を緩和させることができるのではないか?という疑問が浮かびます。


上の画像の地図を見ると、中勢バイパスは伊勢自動車道に完全に並行しています。これは素人目で見ても違和感を抱くでしょう。これならバイパスを建設しなくても、伊勢自動車道を無料化するなり料金を値下げするなりして伊勢自動車道をバイパスとして利用させるようにすれば、それで十分代替が可能ではないでしょうか?仮に建設するにしても、南勢バイパスから延伸して久居IC辺りで伊勢道に直結させて、そこからしばらく伊勢道と重複させて、津ICの北側で伊勢道から分岐して23号へ接続するようなルートにしていれば良かったでしょう。バイパスを建設するコストも減らせたし、バイパスの交通をダイレクトに伊勢道にそのまま流すこともできました。

南勢バイパスと伊勢自動車道
南勢バイパスは伊勢道とはかなり離れたところを走りますが、これも沿線の人口を考えた時に2本も必要なのか?1本に集約できなかったのか?と思います。明和町、松阪市、伊勢市、多気町、渡会町などの地域の交通流動を考えても、バイパスと高速道路が2本建設されるだけの需要があるのか疑わしいです。南勢バイパスはそれなりに車が走っていますけど、伊勢自動車道はガラガラですからね。

2017y09m11d_165323731.jpg
交通量の少ない伊勢自動車道

また、亀山から伊勢神宮まで行く際に、伊勢自動車道だとかなり大回りなルートを取っています。この部分は津ICか久居IC辺りで降りて、そこから中勢・南勢バイパスを利用した方が料金も節約できるし、走りやすいバイパスだからと、多くのドライバーはそちらを利用する傾向にあるそうです。移動時間もほとんど変わらないという話もあるくらいです。

しかし、その場合、伊勢自動車道って伊勢方面へ行くのにそもそも必要ないですよね。まさに無駄な高速道路であり必要性を問われるでしょう。

もっとも、尾鷲方面から伊勢へ来る車にとっては伊勢道を利用した方がショートカットになりますし、渡会町や多気町などの沿線から伊勢方面へ行く場合も、伊勢道の方が速いです。しかし、その需要が果たしてどれくらいあるのかといえば、亀山方面から伊勢へ向かう需要に比べれば、はるかに少ないでしょう。それに伊勢道は有料ですから、尾鷲方面から来る車も渡会町や多気町から来る車も、伊勢道を使わずに、近くを走っている県道を使うんじゃないですかね。そうだとしたら、伊勢自動車道はいったい何のためにあるのか?ということになります。

2017y09m11d_102511388.jpg
参考;伊勢自動車道の交通量、国土交通省交通センサスより、引用元はWikipediaから。

伊勢自動車道の交通量は上記のようになっていますが、南勢バイパスが並行する松阪IC~伊勢IC間は平成27年では交通量が2万台を下回っています。勢和多気JCTまでは多いですが、紀勢道が分岐するとさらに交通量が減ります。伊勢西ICまでは4車線ですが、終点付近は1万台を下回っています。伊勢神宮へのアクセス道路であれば、もう少し利用されてもよいと思いますが、恐らく観光客の多くは南勢バイパスへ流れていると思われます。

一方で、中勢バイパスが並行する松阪IC~芸濃IC間はそれなりに走っていますが、それでも交通容量が圧迫しているわけではありません。少なくとも中勢バイパスの交通量を受け入れるだけの余裕はあります。

今いっても仕方がないですが、この区間は伊勢自動車道をもう少し北側に建設して、南勢バイパスは建設せずに1本にすれば良かったと思います。もしくは、南勢バイパス1本にして高速道路は建設しなくても良かったでしょう。

このように、高速道路と一般道のバイパスが二重に建設されている地域は日本にたくさんあります。つまり、二重投資を行っている地域が日本にはたくさんあるということです

これは高速道路を無料化するか、料金を安くする。もしくはバイパス1本をちゃんとした形で建設すれば、2本も必要がないケースが多いのですが、それをしないために、無駄にお金をかけて道路を作っているのです。


もちろん、沿線の人口や都市規模によっては2本、3本必要な場所もありますけど、でもそのような例はあまり多くありません。それに2本以上必要な場合でも、新規に道路を建設しなくても既存の道路の車線数を増やせばすむ例が多いです。言い換えれば2本以上の高規格道路が必要というのは、よほど車の交通量が多い地域でないとありえないということです。

例えば、伊勢自動車道と中勢バイパスの場合、伊勢自動車道1本に集約させて、伊勢道の交通容量が圧迫したら6車線にするという方向だってあり、それで十分のような気がします。南勢バイパスと伊勢道に至っては伊勢道はいらないでしょう。

国道23号やこの地域の道路は交通量が多いから中勢バイパスは必要ではないか?
現道の国道23号の交通容量は余裕がないから中勢バイパス建設は必要だという意見があります。確かに朝の通勤時間帯の渋滞はひどかったし、現道も交通量が多いうえに、この地域は自動車社会が過度に進んでいる地域でもあるので、道路整備はもっとした方がよいという意見はわかります。

それに名古屋都市圏や関西圏からそれほど離れていないし、大都市からの流入もそれなりにあるという意見もあるでしょう。

ただ、結果論として、中勢バイパスが建設されて混雑が緩和されたかといえば、疑わしいものがあります。バイパス周辺の道路の交通量は減ったようですが、相変わらず現道の交通量は多いし、むしろ中勢バイパスが渋滞を引き起こしているレベルなので、ほとんど渋滞緩和に貢献していないでしょう。

全線開通すれば状況は変わるかもしれませんが、全線開通しても暫定2車線なわけで、仮に現道の渋滞が解消されても、今度は中勢バイパスに交通量が集中してバイパスがボトルネックになります。これは今でも渋滞しているから、そうなるのは明らかでしょう。そして、そこから4車線化されるのにおそらく10年はかかるでしょうから、結局、当分の間渋滞はなくならないということになります。

更に4車線化されても、それでも渋滞がなくなるかどうかも微妙です。信号のある交差点が渋滞ポイントになり、そこで立体化の話になり、そこからまた5年、10年となるのであれば、もう渋滞緩和も何もないでしょう。

仮に高速道路を有効活用した場合、伊勢道が渋滞する恐れはありその過程で6車線化が必要になるかもしれません。ただ、一般道に比べて、高速道路の方が多くの交通容量をさばくことができます。渋滞ポイントとなる信号交差点もないので、現道や周辺の交通量を伊勢道に集中させても、6車線あれば捌けるレベルだと思います。ちなみに高速道路の場合、6車線あれば、1日当たり約7万台くらいまでは大丈夫です。10万台くらいになるとかなり交通量が多いですけど、それでも捌けないレベルではないです。そう考えると、交通容量の大きい道路に交通量をシフトさせた方が、渋滞緩和対策としてはむしろ良いと思います。

それにこの地域は過度に自動車依存が強い地域ですから、それに付随して自動車依存からの脱却を行う必要もあるでしょう。ちゃんとした政策を行えば、更に交通渋滞の緩和に貢献します。
ちなみに、この地域は地図で見ると、地方にしてはかなり鉄道路線が多いですよね。まあ、近鉄の貢献が大きいと思いますが、JRと近鉄が二重に並行しており、津市や鈴鹿市には伊勢鉄道もある。JR1本しかないほかの地域に比べると、かなり充実しているし、にも関わらず過度の自動車依存というのも不思議です。

あと、現道の渋滞が・・・とはいいますが、現道の松阪~四日市間は、断続的に片側2車線(一部では片側3~4車線)で通勤時間帯を除けば、少なくとも50~60k/h程度で走れる道路です。そこまで渋滞がひどい道路ではないし、低規格の道路ではないと思います。国道23号は全国的に見ても整備水準の高い道路で、ロードサイド店舗が多いですけど、この道路自体をバイパスと呼んでも差し支えないレベルです。別の地域に行けば、このレベルの道路すらバイパスと呼び、しかも依然として全線開通していないような場所もありますからね。

むしろ、四日市の名四国道の方が渋滞はひどいでしょう。あそこはほぼ毎日、日中でも渋滞していますからね。

Route23 mie gendou
津市の国道23号。片側2車線の道路が続く。

中勢バイパスはこれ以上建設しない方が良いか?
では、中勢バイパスはこれ以上建設しない方が良いのか?と考えると、それもどうかと思います

言っていることが矛盾しているじゃないか?と思われますが、中勢バイパスの場合、暫定とはいえほぼ9割型完成してしまっているので、今更どうにかできるものでもないからです。しかも、南勢バイパス~国道306号線までは幹線道路としても機能しているし渋滞もするしで、中途半端に事業中止にしても渋滞を放置するだけだからです。それなら、ちゃんとした形で開通させた方が良いでしょう。

もっとも、渋滞は、ところどころの信号交差点で起きていると思われるので、国道306号までは信号交差点をなくし交差点は全て立体化した方が良いでしょう。それだけでも流れは良くなるはずです。少なくとも、南勢バイパス~国道306号間は渋滞緩和のための対策が必要です。全線を建設しないのであれば、国道23号の指定を外して、国道306号を延伸する形にしてもよいでしょう。また、前述した伊勢自動車道の有効活用も効果は大きいはずです。

まとめ
大筋をまとめると、高速道路を建設したにも関わらずそれが有料で有効活用されないために、一般道の混雑緩和のためにさらにお金をかけてバイパスを建設していること、高規格道路の道路があるにもかかわらず、その道路に並行して有料道路の高速道路をお金をかけて建設している二重投資をしているということです。

なお、中勢バイパスと伊勢道、南勢バイパスと伊勢道との比較では問題点の性質が少し違います。前者は並行して高速道路があるのにそれが有効活用されないために、別にバイパスを造っているという点で、後者は高規格のバイパスがあるのに、わざわざもう1本高速道路を建設しているという点です。ただし、どちらも問題の本質は同じで、高速道路とバイパス二重に建設している二重投資であるということです。

日本海東北道・秋田自動車道 E7について考える【交通量の少ない高速道路】

nitiendou.jpg
今回は新潟市から秋田市を結ぶ日本海東北自動車道秋田自動車道のうち、河辺JCTから小坂JCTまでの区間について考えていきます。この区間はほぼ全区間にわたって国道7号に並行する区間でもあり、ナンバリングではE7が振られています。

ちなみに、個人的には、このナンバリングに関しては異論はないのですが、E7区間の名称は日本海東北道に統一した方が良いと思います。単純にE7=日本海東北道とした方がわかりやすいからですね。

道路名称だと2つの路線を上げなければならないので面倒ですが、要するに新潟市から小坂町までの高速道路のE7号線について考えていこうということです。

日本海東北道・秋田自動車道の特徴・開通区間など
この路線は、国道7号に並行すると同時にほぼ日本海側を走る高速道路です。

現在日本海東北道は、新潟中央JCT~朝日まほろばIC(新潟市~村上市)・あつみ温泉IC~酒田みなとIC(鶴岡市~酒田市)・象潟IC~河辺JCT(にかほ市~秋田市)までの約184kmが開通しています。全長が約250kmですから日沿道は約7割が開通していることになります。
秋田自動車道の河辺JCT以北は、河辺JCT~二ツ井白神IC(秋田市~能代市)・鷹巣IC~小坂JCT(北あきた市~小坂町)の区間の約118kmが開通しています。全長はちょっとわかりませんが、開通していないのは二ツ井白神IC~鷹巣IC間だけなので、秋田道は8割型完成していると考えてよいでしょう。

ちなみに、二ツ井白神IC~鷹巣IC間は新規路線建設ではなく、国道と県道のバイパスを自動車専用道路に改良するようです。具体的には国道7号の二ツ井バイパスと秋田県道325号の部分を自動車専用道路にするのですね。そうなると、完成するまでにそんなに時間はかからないので、数年以内に河辺JCT~小坂JCT間も繋がるでしょう。
E7-2.jpg
現道を改良する予定の国道7号の二ツ井バイパス区間。自動車専用道路の規格に変更し、信号も撤去する方向性で進めている
参考記事:日本海沿岸東北自動車道(日沿道)(少し古い記事になります。)



有料区間は新潟中央JCT~荒川胎内IC・鶴岡JCT~酒田みなとIC・岩城IC~河辺JCT・河辺JCT~八竜ICの区間です。それ以外は無料となっています。ただし、これら道路はいずれも大部分が暫定2車線(対面通行)で4車線なのはほんの一部です。全通しても全線4車線化となると、まだかなり先になりそうです。
E7-1.jpg
対面通行の日本海東北自動車道

新潟~青森間に高速道路は必要か?
日本海東北道・秋田道ですが、日本の国土を縦断する路線としての重要性はそれほど低くありません。なぜなら、並行する国道の番号も7号という若い番号が振られていますし、日本海側を縦断する高速道路の1つとして機能しうる道路からです。新潟から青森まで高速道路が続いていてもおかしくはないし、むしろ早い時期に建設されていてもおかしくなかった路線でしょう。にもかかわらず、2017年になっても全線開通はしていません。

本当に必要性があれば中央道や北陸道のように90年代までにはちゃんとした形できていたと思いますが、未だに全線が開通していないということは、今まで必要性の薄い道路として見られていたということでしょう。

必要性が低い理由を上げてみる
一番の理由としては「交通量が見込めない」というのがあるでしょう。並行する国道7号線は、都市部にいけば交通量は増えますが、それでも大都市圏や太平洋側の地域に比べると、そんなにひどいレベルではありません。

都市を外れれば、交通量が少なく快走できる区間もあります。例えば、新潟と山形の県境当たりは交通量がほぼない状態になります。この区間の車の平均速度は約54km/hだそうです。かなり高い数値ですね。
それ以外の地域も差はあれどそんな感じで、それを踏まえると、わざわざ高規格の道路を建設する必要はないと考えてもよいでしょう。
route7.jpg
交通量がほとんどない新潟県村上市の郊外。
参考記事:新潟⇔青森 日本海東北道VS磐越道 比較(移動時間や旅行平均速度が載っています。)

また、他の地域に比べて人口が少ないというのも理由にあると思います。
比較すると、同じ東北地方を縦断する東北自動車道沿線は比較的都市が多く、高速道路を利用する車も一定数ありますが、それでも渋滞が発生するレベルでもないし、流れが滞るようなこともありません。特に岩手より北は、交通量が1日3万台を割り込み、北に行くにつれて交通量が減少します。

この沿線はその東北道沿線よりもさらに人口が少ないですから、有料高速道路を建設しても、1日数千台しか利用しないような赤字路線になることは確実です。

これらを考えると、沿線に高速道路は必要ないと考えられてもおかしくありません。

沿線にある都市を見る
しかし、それほど人口希薄地帯を通るわけではありません。新潟市は比較的大きい都市ですし、鶴岡市・酒田市も10万都市で2つの都市圏を合わせればそこそこの規模になります。秋田市も県庁所在地で大きいですし、それ以外にも新発田市・村上市・由利本荘市・能代市・大舘市と小規模の都市が多くあります。
R-7-3.jpg
酒田市内の国道7号線。片側2車線で交通量は多い。

沿線に中規模の都市があり、適度に小規模の都市がいくつあるので、むしろ人口密度はそんなに低くないと考えてもよいと思います。海外との比較で考えると、例えばニュージーランドとかオーストラリアとかの感覚でいえば、人口密集地帯といえるし、向こうだったら、4車線の高速道路が建設されるレベルです。

実際の交通量はどれくらいか?
日本海東北自動車道秋田自動車道の交通量の推移
2017y09m05d_095015146.jpg
出典:平成22年交通センサス(国土交通省)平成27年交通センサス(国土交通省)
青は有料区間、オレンジは無料区間。


上記を見ると、2015年の調査では、2万台を超えている区間はありません。ただし、無料区間を中心として1万台を超えている区間がいくつかみられます。また2010年では秋田中央IC~八竜IC間、日本海東北道全区間が無料で通行できたため、交通量が増大しています。新潟地区とか2万台超えてますし、秋田~能代も1万台超えで交通量多いですよね。

ちなみに、これはまだ全通していない状態での交通量なので、全線が開通すれば更に交通量も増えてくるはずです。庄内地区は有料ですが、新潟と秋田間が繋がれば交通量が1万台を超える可能性はあります。秋田の大舘近辺も全線が繋がれば1万台を超える可能性はあるでしょう。
これに加えて、更に全線が無料で通行できれば、さらに交通量が増えるでしょう。

つまり、まとめると無料の高速道路として建設していれば4車線規格の高速道路としても、それなりに交通量が見込める道路になったのではないか?ということです。それを踏まえると、決して不要な路線とは言えませんね。

それ以外の要素も考慮する
例えば、冬の雪による影響とか、災害時のダブルネットワークの必要性とか、または7号線沿線の地域の活性化とかそういう部分もあります。特に災害という点に関していえば、日本は地震国ですから、本州を縦断する高速道路が2本あった方が何かあった時に一方が代替路線になるというメリットがあるでしょう。2011年の震災の時にはそれが強く言われました。

ちなみに、本州の場合、太平洋側と日本海側のダブルネットワークという点で見た時に東北地方だけがダブルネットワークになっていません。山陽道の場合、中国道があります。(山陰道が全通していないし中国道は内陸を通るので微妙なところですが、形としてはダブルネットワークにはなっているので、中国道を日本海側の路線として見ます。)

関西地区は名神・名阪・新名神とそれに対する舞鶴若狭道。
中部地区は東名・新東名・中央道に対して北陸道。
関東地区は東北・関越・常盤道とありますが、東北だけは、仙台までの常盤道を除くと東北道1本しかありません。三陸道もまだ全通していませんし。

ちなみに九州は九州道と東九州道のダブルネットワークが完成しましたね。これらを踏まえると、東北地方は東北道と日沿道という2本のダブルネットワークがあっても良いのではないかと思います。

道路建設はこれ以上必要ないから、これ以上新規道路を建設する必要はないのではないか?
この路線について議論すると、おそらくこのような意見が出てくると思います。交通量うんぬんなどと言っても、道路を建設するにはお金がかかるし、脱自動車社会という観点から見てもやめた方がよいという意見です。

確かに、不要な道路は建設しなくてよいし、新規道路建設よりも現道改良をした方が良いでしょうし、過度な道路建設は自動車社会を推し進めるだけです。しかし、日本の道路建設はこれ以上不要とか、自動車社会うんぬんとかはあくまで一般論で抽象的な意見であって、個々の道路事業はその地域の交通事情など、様々なもの加味する必要があるでしょう。もちろん、一般論の通りになるケースもあるし、例外ケースもあります。

この路線について、あくまで個人的な意見ですけど、前にも述べたように必要性は決して低くないと思います。ちゃんとした形で建設すれば、それなりに利用されるはずです。もっとも、交通需要とか建設コストとか、そういうのうんぬんよりも、日本海側を縦断する主要な幹線道路としても必要だと思います。国土を縦断する高速道路としてもっと注目されていれば、九州道や山陽道、東名、東北道などとおなじくらいの重要度があっても良かったと思います。

それにもう7割くらいは完成しているし、今更不要だからと道路事業を中断しても中途半端な形で完成形になってしまうだけです。それなら、この路線くらいはしっかりした形で建設して、日本海側の縦断道路として完成させてもよいと思います。


まとめ
以上を踏まえると、7号線に並行する日沿道・秋田道はそんなに必要性の低い道路ではないと個人的に思います。


脱自動車社会を目指す方向性を考える【対策を考える】

前回は脱自動車社会の問題提起を行いましたが、今回は具体的にどのような対策を行えば良いのか?など考えていきたいと思います。今回の記事を読むにあたり、前回の記事を読んでいただくとより理解が深まると思います。

脱自動車社会を進めるための対策
いくつか箇条書きであげていきます。

・歩行者が歩きやすい街の構築
日本の傾向として、町の中心部は廃れて、逆に郊外に車で行けるショッピングモールが建設され、車の移動に関してはとても便利になってきている傾向にあると思います。同時に道路の拡張や新規道路の建設も盛んに行われています。道路に関していえば、ますます便利になってきています。

しかし、それでは自動車交通を便利にするだけで、自動車依存は脱却できません。もちろん、道路建設は必要ですが、過度な道路建設は逆効果です。
2017y08m30d_134105974.jpg
郊外に建設されたショッピングモールは便利だが、自動車依存を加速させる。

そのため、特に都市部においても地方においても、歩行者が歩きやすい街づくりを行う必要があると思います。具体的には市街地おける歩行者専用道、自動車交通を排除したトランジットモールの整備などがあります。
特に市街地においては、自動車で移動する方が渋滞や信号待ちでかえって不便なので、走りやすい道路を建設したり道幅を広くしても限度があります。それよりも歩行者や自転車が快適に移動できるようにした方が良いでしょう。
2103888.jpg
都市部の歩行者専用道路

地方でも、例えば集落の中の狭い道路は自動車のための道幅を狭くして歩道スペースを広げるとか、交通量がなければ歩行者専用の道路にしてしまうなど対策があります。特に昔からある旧街道を道路にした場所は、自動車の流入を抑制するという意味でもそのようにした方が良いでしょう。
Kisoro (5-1)
昔の街道が道路になっている場合、自動車が走りやすいような道路にする必要はない。

・バスや鉄道網の充実、サービスの改善
車を利用する人が多くなるのは、その代わりの移動手段がないか、あっても不便だからですよね。日本の場合、鉄道やバスに関しては比較的整備されており、主要な地域はもちろん、より細分化した需要にもこたえるような形で各地域を縦断しています。どういうことかといえば、国土を縦断する路線としてJR本線や新幹線があり、それを補完する形でJRの支線や私鉄が走っています。バスも同じことが言えますが、バスの場合、鉄道以上にさらに細分化した需要に答えるという位置づけが強いです。

日本の自動車分担率は西欧諸国と比べると、実はそれほど高くなく、むしろ鉄道やバスの分担率が高い傾向にあります。

参考ツイート



これを見ると、ニューヨークはそれほど高くないですが、それでも日本の大都市よりは高いです。ロンドンやパリでさえも日本の地方レベルの分担率です。ちなみに日本全体の平均は約50程度で、地方の平均はおおよそ60くらいです。

余談ですが、自分が住んでいたシドニーは、オセアニア最大の都市といいながら自動車分担率は約68と日本の地方都市レベルです。おそらく、シドニーよりも鉄道が発達していないニュージーランドのオークランドやウェリントンなどはもっと高いでしょう。地方に行けば80とか90とかそういうレベルになると思います。これらを踏まえれば、日本はそもそも自動車社会ではないとも取れます。

しかし、日本の場合、問題なのは鉄道やバスが整備されていても、それらを利用する人が年々減少している傾向にあり自動車依存の方向に向かっているということです。それにもかかわらず、道路整備は十分とは言えず、自動車が走るのに適していない狭い道路が多いということです。

新規路線の建設は次で述べますが、ここで言いたいことは、今ある既存路線をもっと有効活用されるようにすべきということです。快適性の向上とか、サービスの質の向上とか、移動時間の短縮とか改善すべき点はたくさんあると思うんですね。

クロスシートの積極採用
例えば、コメントであったのが、利用者がそれほど多く無い鉄道はクロスシート(横座席)をもっと積極的に採用したらどうか?という意見です。クロスシートというのは、簡単にいえば特急列車や高速バスで見られるシートのことです。

PAK86_ryokouhe15093120_TP_V.jpg
新幹線のクロスシート。

鉄道の多くはロングシート(縦座席)が一般的ですが、快適性で比べればクロスシートの方が高いです。クロスシートといっても、双方が向かい合わせになるなものではなく、全ての席が同じ方向へ向いているシートの方が快適性が高く優れています。
疲れやすさとか、座り心地とか、景色が見れるとかそういう部分ですね。ロングシートの場合、クロスシートよりも多くの旅客を乗せることができるし、座席の着席離席時間も短いので、特に混雑路線では優れています。ただ、短距離移動ならよいですが、長距離の移動となると疲れます。お互いが向かい合わせになるとかそういう部分もあるので、あまり快適ではありませんね。


自分が知る限りでは、JR東海の名古屋地区やJR西日本の関西地区では一般的です。私鉄でも近鉄や名鉄でも採用されています。

鉄道を使いたがらない人の中には、ロングシートが嫌だという人もいるはずです。首都圏などの混雑する路線では無理ですが、そうでない地域であればクロスシートでも十分運行している余地はあると思いますから、もっと積極的に採用されて良いと思います。

混雑うんぬんを取り上げて反論する人がいますが、それなら転換クロスシートとかロング・クロスの両方に転換可能なディアルシートにするという方向性もありますし、コストはかかりますが車両を増やすという方法もあります。つまり、いくらでも改善の方法はあります。

ちなみにオーストラリアのシドニーやニュージーランドのオークランドの鉄道はクロスシートが中心です。ロングシートはシドニーの短距離用のLRTでしか見かけませんでした。それでやっていけてるのかというと、混雑はしますけど十分やっていけてます。
そもそも人口の多い中京圏や関西圏でできて、海外でもシドニーやオークランドなどの大都市でできるのですから、日本の地方都市でもクロスシート中心の車両を走らせるのは不可能ではないと思います。

要するに座席の快適性という点においては、改善の余地が相当あるのではないかということです。

座席以外の面では、例えば全国や他の鉄道会社やバスでも使えるICカードの普及もありますね。まあ、これはSuicaとかTOICAとか、既に一般的になってきていますけど、切符を買わずにカードをかざすだけで鉄道やバスに乗れるのは便利ですね。

シドニーでは休日に鉄道を利用すると区間に関係なく一律で2ドル50セントで利用できますが、このような大胆な割引制度の導入も、鉄道やバスの利用促進に一役買うと思います。

輸送力増加、速度向上であれば、既存路線の複線化や踏切の撤去などによる高架化などもあるでしょう。

まあ、日本の鉄道サービスに関しては、速いしダイヤも正確だし、全体的なサービス水準はかなり高いと思うので、これ以上何を改善する必要があるのか?と言われそうですが、より細かくみていくとまだまだ改善の余地はあるでしょう。

・BRTやLRTなどの次世代公共交通機関の建設
DSC2064.jpg

世界的に注目されているのが、BRTやLRTなどの次世代公共交通機関ですね。これらの導入で自動車依存脱却に成功した都市はたくさんありますから、日本でも今後進めていくべきだと思います。もっとも、富山には既にライトレールがあるし、西日本の主要都市を見ると、都市部に路面電車が走っているし、静鉄や遠鉄のような都市部を走る鉄道路線も海外の視点からみるとLRTといわれているので、日本でも既に一般的になっているという見方もあります。

ただ、路面電車にしても、年々利用者が減ってきているところもあるし、電車はあるけどあるだけでサービスの質は悪く、車の方が便利という地域もあります。地域によっても異なり、宇都宮や浜松のように自動車依存が高い都市もありますし、静岡のように自動車依存が低い地域でも、郊外に出るとそうでもない地域もあります。鉄道があるといってもあるだけでは意味がありません。より細分化した需要に答えるために、バスや鉄道のサービスの向上のためにLRTやBRTを建設するという方向性もありますから、これもまだまだ改善の余地はあると思います。

また郊外から車、自転車などで乗り換える人のために、郊外駅にパークアンドライドを設けるのもよいでしょう。

・主に都市部における自動車の流入規制
単に鉄道を建設するだけでは自動車依存は減らないと思います。ある程度規模が大きく、交通渋滞が深刻になっている都市では公共交通機関のサービス改善、新規路線建設とともに自動車流入の規制も行うべきでしょう。

これは、ロードプライシングと言われています。日本語では道路課金とも言われます。意味としては道路利用者に対して一定額の料金を課すというものですが、ここでは主に都心部へ入る車に料金を課す・都心部の一定範囲内の道路に料金を課すという点に焦点を当てて考えていきます。

都市部へ流入する車に料金を課すわけですから、都市部へ入る車を減らし、交通渋滞を緩和させる対策としては効果があります。実際にロンドンやストックホルムでは導入されています。
これは東京や大阪、名古屋などはもちろん、地方都市でもそれなり規模が大きく、中心部の空洞化がそれほどひどくなく、都心部への鉄道やバスが比較的整備されている都市で導入すべきでしょう。
ただ、車の流入だけを規制しても効果は薄いと思うので、公共交通機関のサービス向上、新規建設、パークアンドライド設置などとセットで行うべきでしょう。

なお、これは高速道路ではなく一般道で行う必要があると思います。というのも高速道路は既に高い料金が課せられているからです。高速道路の有料化もロードプライシングになると思うのですが、高速道路だけを有料にしても、有料道路を回避するために並行する一般道に車が流れ込むだけでかえってデメリットの方が多いからです。

むしろ、市街地への自動車流入規制に逆行しているとも考えられます。高い料金を払いたくないために無料で市街地を走る一般道へ車が流れていくわけですから、かえって都市部の渋滞が悪化するだけです。
地方でも同じことが言えて、小さな集落の中を走る一般道や山間部の走りにくい道路の交通量が増えて、かえって交通事故や混雑が増えるだけです。これが目に見える形で社会問題になったのが、中央道と国道19号の木曽路ですね。

このことも踏まえて考えるならば、むしろ市街地や集落を外れて走るバイパスや高速道路に車をシフトさせて市街地へ車を入らせないようにするのが基本です。ですから、東名や名神のように交通量の多い路線は例外としても、地方で交通量の少ない高速道路は無料化するか、今よりも料金水準を下げるべきだと思うのです。代わりに都市部の道路で料金を課した方が、自動車流入を規制でき、混雑や事故減少にも貢献でき、かつ走りやすい道路に自動車を誘導させるという形になるので理にかなっています。

・自転車レーンの整備、自転車利用の促進
1202144.jpg

鉄道やバスだけでなく、自転車の利用を促進させる方向性もありますね。この点については専門的なことはわからないので、自分の知っている範囲で考察していきます。

自動車に比べれば自転車の方が環境にもよいですし、維持コストも自動車に比べればかからないのは誰もが知るところでしょう。移動範囲が狭くなってしまうでメリットがありますが、そもそも都市内で短距離の移動であればそれほどデメリットにはならないでしょう。

自転車というとママチャリを想像する人が多いですが、ロードバイクもあります。ロードバイクの方が普通のママチャリに比べれば速度は出ますし、10km程度の移動距離でもそれほど苦になりません。

自転車専用道路を整備して、市内各地を自転車で気軽に移動できるようになれば、自動車を利用する人が減り自転車を利用する人は間違いなく増えるでしょう。鉄道やバスに自転車を持ち込めるようにする、鉄道やバスとの乗り換えを便利にする、無料の駐輪場を整備したりすれば、公共交通機関の利用も促進できます。

・自転車の交通マナーの問題点
ただし、これも良いことばかりではないでしょう。コメントで見受けられたのが、過度な自転車シフトによって自転車利用者のマナー悪化が懸念されるという点です。車の運転マナーばかりが問題視されますが、自転車のマナーもいろいろ問題ある行為が多いですよね。信号無視とか、歩行者妨害とかあります。

自転車が環境に良いとは言っても軽車両ですし、使い方によっては自動車同様に走る凶器になります。人をひき殺すことも可能ですし、車のように危険運転が問題にもなります。そう考えると、単に自動車から自転車にシフトさせても、自動車と同じように自転車利用者のマナーが問題になり、自転車の交通事故が増えるという結果にもなりかねません。自転車が歩行者優先を守らないというような問題も出てくるかもしれません。
ですから、その点も考えて(ちゃんとしたルール整備や自転車利用者にも違反者には厳しい罰則を設けるなどの対策も考えて)自転車シフトを行う必要があるでしょう。

・自動車シェアという発想の一般化
自動車そのものを減らす発想としては、自動車台数自体を減らす必要があります。これは東京や大阪などの大都市、および海外でも大都市でかなり一般的になってきていますが、1台の車を複数人でシェアするということです。例えば1台車を所有していて、使わない時はほかの人が使用するということですね。タイムズカーシェアとか有名ですが、海外では個人間のやり取りでもこのカーシェアという方式が一般的のようです。レンタカーも似たような発想でしょう。

これは自分が使用したい時だけお金を払って車を利用すればよいので、車を所有する必要がなく、個人としては車の所有にかかるコストを減らすメリットがありますし、貸す側も自分の車で利益を出せるというメリットがあります。

複数人で1台の車を利用するのですから、結果的に車の保有台数を減らすことにもなります。地方だと1人1台という感覚ですけど、そうなくなるわけですからね。

もっともより身近な部分で言えば、家族全員で1台もしくは2台の車を利用するというのも形としてはシェアです。

シェアとしては少し違うかもしれませんが、かつて自分が海外でやっていた農場の仕事では、仕事に行く際、または町に買い物に行く際に、車のない人は誰かの車に乗せてもらって移動するということがありました。誰かと仲良くなってその人の車でいつも乗せてもらうとかですね。また、職場へ行くのにその会社が送迎用の車を持っていて、それに乗せてもらい職場まで移動するというケースもあります。

例えば地域コミュニティがもっと活発だったら、集落内で誰かの車に乗せてもらって買い物に行くとか、移動するかもっとあってもよいと思うのですね。要するに相乗りがもっと一般的になれば良いということです。そういうのが「シェアショーファー」という形でビジネスとして出てきてますけど、自分がいた海外では、車しか移動手段がない離島で、それがビジネスではなく当然のこととして行われていました。

車は必要だけど、「誰かの車をシェアする」「誰かの車に乗せて移動してもらえる」という形がどのような形であれ一般的になれば、自動車を保有する必要性は薄れてくるでしょう。もちろん、老人が車を持つ必要もなってくるでしょう。これは公共交通機関が普及していない、本当に車がないと生活できないような地域でもできる対策でもあります。

・自動車所有そのものの敷居を高くする。
一部の人は車にかかる税金や価格を下げたらどうか?と主張する人がいますが、それは論外だと思います。そんなことをしたら社会がより自動車依存になることは確実です。シンガポールのように高額な税金をかけて抽選まで行うのは極端ですけども、仮に給与水準が上がって今より生活が豊かになっても、自動車保有の敷居自体は高いままにすべきでしょう。

具体的に言えば、趣味的要素が強い車は維持にしても購入にしても、よほどのお金持ちでなければ買えないというレベルにまで敷居を上げるべきでしょう。前の記事にも書きましたが、車は便利な乗り物であると同時に危険な凶器にもなりうるものなので、それを持つこと自体の敷居は低くすべきでないと思います。

・人々の自動車に対する意識を変える。
これは自動車依存の脱却が進めば自然と変わっていくと思いますが、それでも意識改善は必要だと思います。単に「車を運転するときは交通ルールは守りましょう。歩行者がいたら譲りましょう」とかではなく、車を持つことのデメリットや、自動車社会の抱える問題点など学校教育などでより深い部分まで教えていくべきだと思います。

もっとも、人々の意識も昔と比べれば、かなり変わってきているような気もします。地方では車を持つことは当たり前と言われていても、「車は持ちたくない」「車は危険な乗り物、人を殺す凶器」ということを考えている人は少なくないはずです。なぜなら、道路環境も交通マナーも悪いですから、渋滞ばかりの道路環境や、相手に対して攻撃的になるドライバーを見て、何も思わない人はいないと思うからです。地方で運転する人の中には、「地方は車がないとやっていけないから仕方なく車を持っている」という人もいますからね。

そうなると、脱自動車が本格的に進めば、意外と人々の意識はすんなり変わっていくような気がします。

長く成りましたが、自動車依存脱却について具体的な解決策を書いていきました。

Appendix

プロフィール

Yasu1100

Author:Yasu1100
ドライブ、旅行好きの30代。
道路、運転マナー、海外の道路事情について、自分の思うこと、経験に基づくことを書きます。

2005年に原付で公道デビューし、2009年に4輪デビュー。2014年にオーストラリアへ渡航し、海外ドライブ開始。日本と海外を行き来しながら、生活を始める。
バイク、車で走った距離はおそらく10万キロ以上。1回も交通事故を起こしていないのは自分の自慢です。

Youtubeチャンネル

ツイッター

スポンサードリンク

カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

つぶやき