
今回は都市高速のあり方について書いていこうと思います。
都市高速とは、大都市の中心部およびその近郊を走る信号がなく全線が立体交差で構成されている高規格道路です。自動車専用道路であり、首都高速、阪神高速、名古屋高速、福岡・北九州都市高速、広島高速がそれに該当します。都市高速の管理はNEXCOではなくそれぞれの
都市高速道路公団(公益法人)が各自に行っており、名称は~号~線と付けられています。基本的に全線が有料で無料で通行できる区間はほとんどありません。
都市高速における問題点都市高速における問題点を考えると以下の点が上げられると思います。
・都市高速と高速自動車国道の混同。
・都市高速における運転モラル、速度超過の問題。
・都市高速の料金と交通量。
・都市高速と国道、主要幹線道路との関連性。
それぞれについて、問題と自論を書いていこうと思います。
都市高速と高速自動車国道の混同。都市高速は高速道路か?都市高速は、名称に
高速道路と付いていることから
高速道路と考える人は多いです。
信号機や平面交差がなくすべて立体交差で構成され、一般道とは専用の出入口で接続している点は高速自動車国道と共通しているでしょう。しかし、高速自動車国道とは異なり、都市部を走るため道路規格が低く急なカーブも多いため、制限速度が低く40~80k/h抑えられています。また出口は左車線からだけでなく右車線から分岐する構造もあり、入口も右車線に合流する構造が随所に見られます。ジャンクションにおいても、それぞれの車線が別の路線へ分岐する構造が多く、さらにその構造が複雑な区間も存在します。それゆえに走行車線、追い越し車線の概念が基本的には存在しません。
右車線へ合流する一般道からのランプ。
・一般道路の影響を受けやすい都市高速は短い間隔でランプ(出入口)が設けられており、また多くの路線が一般道の頭上に高架道路として建設されているため、一般道路との接続性、関連性は強いです。一般道が渋滞すれば一部の交通量が都市高速へ流れ込み、都市高速が渋滞しますし、その逆もあります。
そもそも大都市の一般道路の混雑緩和を目的として建設されていますし、都市内の中距離移動を担う路線でもあることも踏まえると、一般道との関連性が強いというのはある意味当然でしょう。
それらを踏まえると、
高速道路(高速自動車国道)とは似て非なるもので、バイパスなどの国道の自動車専用道路に近い特徴を持ちます。高速道路というよりも、大都市におけるバイパス道路とみた方が良いでしょう。
都市高速における運転モラル、速度超過の問題都市高速におけるドライバーの運転モラルはどうでしょうか?
地域やドライバーによって差はあるでしょうが、自分自身の過去の運転経験からみると、割り込みや煽り運転など危険な運転は少なくないでしょう。特に速度超過をする車が多く、制限速度が60~80k/hであっても、それを超えて高速道路と変わらない速度で走る車は多いと思います。特に交通量の少ない路線や夜間などの時間帯はそれが顕著で、制限速度と実勢速度は大きく乖離しています。
・都市高速の制限速度は何キロが妥当なのか?都市高速は設計速度の低さやJCTにおける路線分岐の複雑さ、右車線からの合流および出口への流出などを考えると、高速自動車国道と同等の速度を設定することは不可能でしょう。路線にもよりますが、
せいぜい70~90k/hが妥当だと思います。
首都高速湾岸線のように線形が良く走りやすい道路は100k/hでも良いと思いますが、それは湾岸線くらいでしょう。また、
急カーブが多い箇所や分岐が複雑な区間では60k/hに指定しなければならない箇所もあるでしょう。
都心部のカーブが多く分岐も複数ある
都市高速を90k/h以上で走る車が多くみられますが、これは非常に危険です。都市高速を高速自動車国道と同じ感覚で利用し、安全運転を考えないドライバーが多いのではないかと思います。
それを踏まえると、
現在の都市高速における車の実勢速度は安全な速度よりも速いケースが多く、道路規格にあった制限速度を設定し、それを厳密に守らせるように取り締まりなどを強化する必要があると思います。同時に、ドライバー自身も都市高速と高速自動車国道とは異なる種別の道路であるという意識も持つ必要があり、ドライバーのモラルの改善が必要だと思います。
都市高速の料金と交通量、利用されない都市高速。3つ目はあまり利用されない都市高速の実態について書いていきます。都市高速の中でも首都高速と阪神高速は交通量の絶対数が多いこともあり、渋滞が発生するほど利用されています。
しかし、それ以外の
名古屋、福岡、北九州、広島高速に関しては、路線によっては利用されている区間もあるものの、利用されていない区間が多くみられます。もっとも、広島高速に関してはまだ開通区間が少ないということもありますが、それにしても対面通行区間が存在し、車もあまり走っていないという実態は問題だと思います。
・並行する一般道が混雑する一方で、都市高速はガラガラ。上記4つの都市高速と並行する一般道で見られる特徴は、一般道が渋滞している一方で都市高速は流れており、それどころか車があまり走ってないという実態です。
交通量が著しく少ない北九州都市高速2号線、交通量は1日当たり1万台程度であるが、並行する国道199号は交通量が多い。これでは都市高速がほとんど有効活用されておらず、一般道の混雑緩和にも貢献していない。
都市高速の高架下は国道や県道が走っていることが多いので、有料である都市高速を避ける車の多くが高架下の一般道を走行します。例えば、東名阪の名古屋西ICから名古屋駅まで行くのに高速5号を使うのが最短ルートですが、それを避けて高架下の県道を走る車は少なくないでしょう。また、福岡市を通過するのに都市高速を使わずに国道3号を走行する車は少なくないでしょう。
名古屋高速5号に関しては、交通量の実数は1日当たり3万台を超えているようですが、大都市の高速道路にしてはちょっと少ないと思います。3号に並行する福岡都市高速1号・2号・環状線に関しては区間によって交通量が異なるものの、首都高や阪神高速と比べれば交通量は多くありません。一方で国道3号は片側2~3車線あり、交通量の実数はわかりませんが、少なくとも渋滞が起きるほど利用されています。
各路線の交通量うんぬんについては、また個別の記事で書いていきたいと思いますが、ここでは上記4路線全体の傾向から記事を書いていきます。
・都市高速道路はもっと利用されるべき。料金の高さが原因?これら4つの都市高速は有効利用されておらず、一般道の混雑緩和に十分に貢献していないと思います。もっと有効利用されるべきだと思います。
もっとも交通量の絶対数自体は多く、区間によるものの3万~5万台程度(一日当たり)利用されている区間が多くみられます。片側2車線であればこの程度の交通量で問題ないと思いますが、並行する一般道が渋滞していることを考えると、多少、交通キャパシティをオーバーしても都市高速へシフトさせるべきだと思います。それでもあまり多すぎると渋滞が頻発してしまうので、片側2車線であれば6~7万台が妥当ではないかと思います。一般道から2万~3万台の交通量がシフトするだけでも一般道の混雑緩和は大きいでしょう。
なぜ、利用されないのかといえば、料金が高いからだと思います。上記4つの都市高速は均一料金を採用していますが、これは長距離の利用はよくても中・短距離利用では割高です。都市高速で例えば郊外から都心部まで利用する場合、移動距離はそれほど長くありません。移動距離はせいぜい5~15km程度で、通過目的で末端から末端まで利用しても50kmを超えることはあまりないでしょう。にも関わらず550円とか750円とか取られるのですから、誰も利用したいと思わなくなるでしょう。例えば名古屋高速の大高から名古屋の都心環状線まで12km、大高~名古屋都心部の出口で降りるとして約15kmと仮定します。その場合、たった15kmの区間に750円も払わないといけないというのはどうなのでしょうか?高速自動車国道の1km当たりの料金は24.1円/kmですが、この場合1km当たり50円です。もっと短い距離の利用であればさらに高くなりますが、いくらなんでも高すぎると思いませんか?福岡・北九州・広島高速も同じです。また、都市高速だけでなく全国の利用されていない有料道路も問題は同じだと思います。
では利用促進を図るためにはどのような政策が必要なのか?以下に箇条書きで書きます。
・均一料金の廃止、対距離制料金への以降。無料開放するという方向性もありますが、無料にしてしまうとかえって渋滞が酷くなってしまうため、料金を値下げする方向性で良いと思います。
どの都市高速も上限料金はそれほど高くないので、それはそのままでも良いと思いますが、短距離でも利用しやすいように、均一料金は廃止し、距離に応じた料金に設定すべきだと思います。これだけでも短距離は料金の値下げになり、一般道から都市高速へのシフトが図られると思います。
・利用率が著しく悪い区間は無料化。一方で一部の都市高速は交通量が2万台に満たない区間が存在します。僕は高速自動車国道では交通量が1日当たり2万台に満たない区間は無料化すべきと
こちらの記事で書きましたが、都市高速も同様に無料化してよいと思います。片側2車線で交通量が2万台を下回ると、ほとんど利用されていないといっても良い状態です。その一方で並行する国道は混雑していることがあったりするわけですから、何のために都市高速があるのかわかりません。
・特定区間における割引・無料区間の導入。短距離の利用を促進する目的で、特定区間のみ利用したら無料、もしくは料金を安くするということです。
例えば京葉道路は有料道路ですが、一部区間で料金所がないため無料で通行できる区間があります。あれは料金所が設置できなかったため、やむを得ず無料にしているようですが、結果的に利用率の促進につながり多くの車が利用しています。もっとも交通量が多すぎて渋滞が起きるレベルにまでなっているようですが、それはそれで個別の対策が必要としても、都市高速においてもこのような特別な料金設定はメリットが多いでしょう。
まとめると、主に料金調整における部分で改善が必要だと思います。・都市高速と国道、主要幹線道路との関連性。都市高速を国道にできないか?別の記事で国道は高規格な道路にすべきという点を書きました。前述したように都市高速は国道のバイパス的機能を有し、一般道の混雑緩和に貢献していることを考えると、都市部の一般道を国道指定するよりも走りやすい都市高速を国道として指定した方が良いのではないかということです。
都市部の走りにくい道路は国道に指定すべきでない。大都市の一般道路(国道)は地方に比べれば車線数も多く整備されてるのですが、走りやすさは地方の国道と比べても段違いに走りにくいです。車は多いしバイクのすり抜けも多いし歩行者や自転車も多いです。信号で頻繁に止められるし渋滞はひどいし、車線数は多いものの常に均一ではなく交差点毎で車線が頻繁に増減します。一部の国道は市街地を走るにも関わらず1車線で歩道が人1人が通れるほどしかないような箇所もあります。確かに幹線道路として機能している一面もあるのですが、高規格道路が並行してあるのであれば、そういった道路は幹線軸である国道として指定すべきではないでしょう。都市高速を国道に指定すべきです。都市高速は個別に路線番号が振られていますが、これだと国道との関連性が土地勘のない人にとってはくわかりにくいです。もちろん都市高速と名乗っている以上、バイパス的機能を有しているということは理解できるでしょうが、もう少し合理的でわかりやすい形に変える必要があると思います。
例えば国道14号の京葉道路は、そのまま首都高速7号になり国道14号は分岐して日本橋まで走りますよね。そうではなく首都高速を14号として都心環状線まで指定します。他の路線も同様に国道の起点を日本橋ではなく都心環状線にする。一方で、並行する一般道は国道としての指定は解除する。この方が国道のあり方としては理にかなっているのではないかと思います。
ちなみに日本橋は昔から各街道の起点としての歴史がありますけど、道路の高規格化が進んだ今では国道の起点としていつまでもこだわる必要はないと思います。都心環状線が各国道の起点であってもよいわけでよね。

国道2号(第二神明道路)からそのまま接続する阪神高速3号線。この路線が明石~大阪の幹線道路の機能を持つ点を考えると、この路線を2号線として指定した方が実態に合っている。
もっとも、国道として指定する場合、一部の路線はどの国道を指定すればよいか?という問題もあるでしょう。例えば首都高速11号や9号は並行する国道がないのでそもそも番号はつけられないですよね。もっとも、これらは港国道を廃止して、その番号をこちらに付与しても良いのではないかと思います。港国道ってほとんどが形骸化していると思うのですが、港へ向かう場合、地方から来たトラックが国道130号を利用するんですかね?彼らは首都高速を利用するでしょうから、それならば首都高速を港国道として指定した方が実態に合っているのではないかと思います。
番号云々の問題は賛否両論もあるでしょうが、個人的に言いたいことは、
どのような方法にせよ都市高速を大都市における主要幹線道路として強調すべきではないか?ということです。加えて、高速自動車国道との混同をなくすために、~高速という名称も変える必要があると思います。まとめ以上が都市高速に関する僕の自論です。
都市高速と高速自動車国道は似て非なるものであり、高速道路と称していてもその性質は大きく異なる。そして都市高速は大都市における国道のバイパス的機能を果たしていることから、その機能をもっと有効活用されるべきであり、有効活用されるために料金調整が必要であるということ。同時に、都市高速のドライバーのモラル改善も必要だということです。