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交通渋滞緩和の切り札:smart motorwayという発想 路肩を車線にした運用法

今回はこちらのサイトの記事を参考に書かせていただきました。
これまで交通量の多い区間における拡張や車線を増やす必要性を書いてきましたが、ここで紹介されている方法は単に路肩を車線化するだけでないとても理想的な方法です。

Smart Motorway(スマートーモータウェイ)
イギリスで採用されているスマートモーターウェイという方式です。日本語で検索しても上記サイト以外、扱っているサイトはないようですので、こちらに英語版のウィキペディアのリンクを載せておきます。

簡単にいえば、東名高速道路の暫定3車線のようなやり方で拡張工事を行わずに車線を増やす方法です。
具体的には路肩や中央帯などの部分をできる限り(法律の道路設計に沿って)削って車線にあて、数百メートルおきに非常駐車帯を設けます。さらに事故や故障車にも対応できるよう可変電光版も取り付けます。スマートモーターウェイには、交通量の多い時間帯のみ路肩を車線にして運用する形式(Dynamic hard shoulder)のものや、永久的に路肩を車線にして、有事の際のみ閉鎖する(All lane running:)などいくつか種類があります。

スマートモーターウェイ区間では、一定間隔ごとに可変電光盤を設けて車線ごとに規制速度を表示しています。交通事故の時には路肩部分が閉鎖され、それがこの可変電光盤によって知らされます。また、この表示される規制速度は混雑時および事故の際には低めの速度が表示され、その時の状況に合わせて臨機応変に規制速度が変化するようになっています。
詳しいことは参考にさせていただいたこちらのサイトをご覧ください。

参考:有料道路研究センター  イギリスの Smart Motorway について リンクは上記より。


参考動画(英語版)

スマートモーターウェイのメリット
箇条書きで上げると以下のような特徴があります。

路肩を車線にできるため、交通量の多い道路において混雑が緩和され、キャパシティが増加する。

・拡張工事を必要としないため、建設コストや工事期間が最小限に抑えられる。用地買収もほぼ不要。

・適切な運用により、事故時や車の故障時にも対応できる。
(平常時は車線の道路が緊急時には路肩になるという見方もできます。)


などがあります。特に大都市において交通量が多いにもかかわらず、車線が少なく混雑がひどい路線においては、1車線増やせるだけの余裕があれば、お金もかけず時間もかからないので大きな効果が発揮できる方法です。

スマートモーターウェイのデメリット
デメリットには以下のようなものがあります。

・事故時などの緊急車両の到達の遅れ。
混雑が発生した場合は、緊急車両が渋滞に巻き込まれる可能性もあります。ただし、これは電光版で車両をうまく規制(たとえば左車線の車両を中央車線へ誘導させるなどの処理)を行えば、ある程度緩和できます。

故障車両などが車線内に停車するため、事故を誘発する危険性がある。

多くの人が危惧するであろうデメリットの実例。

・トンネルがある場合や首都高などの路肩のない道路は運用ができない

・車線規制時における誤走行の危険性、それによる事故の誘発。

イギリスでも反対する意見があります。

しかし、合理的に考えれば特に日本において導入によるメリットは計り知れないものがあります。イギリスでは導入後に混雑が緩和されたり、旅行速度の向上、渋滞の緩和、排気ガス減少などの効果が出ています。これは日本でも十分検討されて良い方式だと思います。

日本におけるスマートモーターウェイの導入
日本の場合、片側2~3車線の高速道路の中で交通量が多く頻繁に渋滞を起こしたり、流れが滞る路線があります。そういった路線にこのシステムを導入する方法が良いと思います。なお、暫定2車線の道路にこの方式を導入するのは論外です。高速道路は最低でも片側2車線が基本だからです。

現状のように一部の区間でゆずり車線や付加車線を設ける方法は、ほとんど効果がありません。すぐに車線が減少してしまうため、多くのドライバーがその車線を使わないからです。
Waste lane
誰も使わないゆずり車線にどれだけの価値があるのか?

スマートモーターウェイを導入すべき路線候補
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目安として交通量が1日5万台を超え、かつ混雑が見られる路線。トンネルが連続している路線および、今後新規路線開通で交通量の減少が見込まれる区間、都市高速および近畿道、東京外環、名二環、新名神、新東名は含まない。

現状では、交通量が5万台を超えると片側2車線では流れが滞ります。それを踏まえると、おもに福岡や京阪神、中京、首都圏の高速道路ではこの方式の導入で、混雑緩和に貢献します。

例えば、東名高速道路の東京~伊勢原の間でこの方式を導入し、3→4車線にしたとしましょう。平日の朝や夕方の混雑や休日における大和トンネルの混雑緩和に貢献することは間違いないはずです。

また、トラックが多いこの区間では、3車線のうち2車線をトラックが80~90kの速度で占領し、90k以上で走りたい車は右側1車線を走るしかないような状況になっています。つまり、右側1車線に90k~140kで走る車が集中しているという状態になっているわけです。8車線に増やすことで、交通量のキャパシティも増加し、上記の状態を解消することができます。

上図にはありませんが、首都圏の高速道路の東北道や常磐道、関越道でこの方式を導入することで、おそらく休日における渋滞の緩和に大きく貢献するでしょう。これら路線の場合、休日などの混雑する時間帯のみ路肩を車線として運用し、平常時は路肩として活用すればよいでしょう。

中京圏では東名・名神(音羽蒲郡~大垣)、東名阪全区間で導入すれば、渋滞はほぼ解消されるでしょうし、流れもよくなるはずです。

日本での導入の欠点
しかし、イギリスの道路全体の幅を見ると、日本よりもかなり広くとられています。日本の場合、東名や中央道などは路肩が広いですが、東名阪のように80キロ規格で作られた道路は、あまり広いスペースがありません。そのため、一部路線では暫定3車線時のように車線幅を縮小する必要があり、規制速度が低くなる可能性があります。(イギリスの場合は通常時は60k/m(マイル)、約97k/hですが、日本の場合、通常時60k/hで緊急時は40k/hという意味不明な規制になる可能性があります。

最低でも平常時80k/h~90k/h。緊急時60k/h~80k/h程度の規制でないと、実情にあっていないでしょう。

また、路肩がないという不満から多くの人達が真ん中より右側の車線を走るようになる可能性もあります。もっとも首都高速や阪神高速はもともと路肩がないですし、路肩があっても車が止められるのに十分なスペースがないようなところもあります。そもそも一般道は路肩がない道路が多いですが問題になりませんし、一定間隔で駐車できるスペースがあることを考えれば、路肩がないことにそこまで神経質になる必要はないかもしれません。
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東名の暫定3車線は道幅が狭くなり規制速度は60k/hだったが、規制を無視して100k/hで走る車が多かった。しかし、ちゃんとした形で運営すればデメリットは解決できる。

まとめ
これらを踏まえると、比較的交通量が多く、大都市近郊を走る高速道路でトンネルのない路線、都市高速のように道幅自体が狭い道路は除外で、ある程度道幅に余裕のある道路、つまり高速自動車国道への導入が現実的です。

導入の際には路肩を車線化し、非常駐車帯を一定間隔で設けることはもちろん、イギリスのように可変電光版を導入し、時間帯や曜日によって交通量に差がある路線は交通量の多い時間のみ路肩を車線に開放します。
規制速度については80k~90kの範囲で設定するのが良いと思いますが、イギリスでは交通量や事故に応じて規制速度を変えていることから、日本でも車の流れや交通量に応じて規制速度を変える仕組みを取り入れてもよいと思います。

道路の幅を広げず今ある幅で車線を広げることができ、かつコストをかけずに拡張が行え、さらに混雑緩和に大きな効果があるのですから、この方式をぜひ取り入れるべきだと思います。

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コメント

[C64] トンネルがあるところなら効果あり。

この方法は基本的に山間部や中央道八王子IC以東みたいな場所に効果あると思います。
関越道の渋滞の場合、練馬ICの信号で捕まるから逆効果になるし、東名は大和トンネル撤去した方が渋滞と事故対策になると思います。
大和トンネル撤去すれば海老名JCT〜横浜町田ICまでは上り4車線に出来るし、左の付加車線は海老名JCT〜横浜町田ICまで走行車線として運用した方が良い。
それに横浜青葉IC以東は横浜環状線が繋がれば横浜青葉IC以東の8車線は不要になると思います。(横浜青葉IC〜湾岸線は横浜環状線の方が安くなる為。)

東名・名神の小牧JCT〜大垣ICは通常通りの6車線拡幅で小牧JCT〜音羽蒲郡まではこの方式の運用はありだと思います。
ただ小牧JCT以東に関してはその前に東海環状道を4車線にしておく必要があります。

中国道神戸JCT〜中国池田ICはこの方式を合わせながら新名神、舞鶴若狭道4車線拡幅、阪神高速11号池田線との接続をした方が良いです。

この方式は日本だけでなくモスクワやペテルブルク周辺のロシアの高速道路でも役立てる。
モスクワやペテルブルクは渋滞が酷くて割り込みが凄く強引だからこれを行えばロシアの交通マナー向上出来ると考えられる。
最も、モスクワ〜サンクトペテルブルクを結ぶ一般道が片側1車線の区間も多いから、並行している高速道路を全通させた方が良いが。

まぁ、下手にケチれば猪瀬ポール(新東名の静岡区間にあるポール)みたいに逆に金が掛かるのでトンネルや住宅街などの弊害がなければ堂々と拡幅した方が良い気がします。

[C65] 停止車両の問題

停止車両の問題ですが、予防的ハザードランプを義務化して、停止してからではなく異常を発見次第。さらに、前方車両が点灯時に自分もすぐに点灯。そして減速。を行えば殆んど問題ないでしょう。
  • 2017-03-19 22:09
  • masa @raelian_masa
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  • 編集

[C66] Re: トンネルがあるところなら効果あり。

中央道の八王子JCT以東では、ぜひ試験的にもスマートモータウェイを導入してほしいですね。
試験導入をする場所としては最適な場所だと思います。

関越道はどのような形で渋滞が起きるのかわかりませんが、藤岡~大泉で導入すれば少しは混雑が緩和されるのかと思います。東北道、常磐道も同じです。もっとも、練馬ICより先を首都高速で建設して都心まで延伸するのもその対策として必要でしょう。

東名はほかの高速と違って東京~厚木間は交通量が10万台/24hを超えるため、外環まで断続的に8車線化が必要だと思います。もっとも、神奈川の場合、高速道路が不足しているので、おっしゃるように横浜環状線や川崎縦貫線などの開通を優先した方が良いかもしれません。東名で一番優先順位が高いのは海老名~横浜町田間なのでまずはそこへの試験導入ですね。

東名・名神の小牧JCT〜大垣IC間ですが、一部で宅地や工場が密集している地区があり、そこを普通に拡張して広げるのはかなり難しいです。名古屋地区は大部分が市街地化しているので、普通に広げられるのは大垣~岐阜羽島くらいだと思います。幸い路肩はそこまで狭くないので、なんとかして車線を広げることはできるかと思います。


中国道を候補に挙げなかったのは、新名神の開通で交通量が減るからです。あと神戸JCT~宝塚トンネル付近の下りは登坂車線が長い距離であるので、あれを少し改良して部分的に8車線にして山陽道でそのまま分岐するような形にすれば、効果が期待できます。宝塚トンネルはどうしようもないので、新名神の開通を待つしかないでしょう。

まぁ、下手にケチれば猪瀬ポール(新東名の静岡区間にあるポール)みたいに逆に金が掛かる>
場合によっては思わぬ問題が発生することも考えられるので、よく検討して行う必要があるかもしれませんね。ただ、東名や東名阪で実績はあるので、そこまで無謀な案ではないと思います。
  • 2017-03-20 09:32
  • hiro1100
  • URL
  • 編集

[C67] Re: 停止車両の問題

ある程度、スマートモーターウェイ上の故障時における厳密なマニュアルみたいなものが必要かもしれませんね。はじめは戸惑う間もしれませんが、恒常化されればこのような問題は少なくなるでしょう。東名の暫定拡張時の時は、車線上に故障車が止まっているような状況はほとんどなかったようです。あと追い越し車線、真ん中で故障車が止まるケースだってあるわけですから、対策は必要ですが、路肩がなくなるかといって神経質になるほどでもないのかもしれません。
  • 2017-03-20 09:38
  • hiro1100
  • URL
  • 編集

[C68] Re Re: トンネルがあるところなら効果あり。

東名高速に関しては、出来るだけ首都高速湾岸線に流すルートを優先した方が先決だと思います。
東名高速が8車線でも首都高速に入ると4車線になる事や中央環状線の大橋JCT辺りで渋滞を引き起こす事が要因だから圏央道藤沢IC〜横浜横須賀道路間、横浜環状線の横浜青葉IC〜生麦JCTまで整備して極力、成田空港方面の車を湾岸線に流す方向にした方が良いかと。

関越道に関しては上りの練馬ICの信号がある事、首都高速大宮線が桶川北本ICまでの延伸を考慮すると鶴ケ島JCT以北限定で実施した方が望ましいと思います。

東北道はまず、岩槻付近で並行している国道122号の4車線化が先だと思います。それで尚且つ高速バスの岩槻駅発着や埼玉高速鉄道の岩槻駅延伸も検討した方が望ましいです。

最も首都圏の場合は圏央道4車線化や外環道千葉区間の開通が優先で外環道の新倉PA以東はこの方式で運営しても良いと思います。
千葉区間の効果は千葉県の渋滞の多さやそれに伴う一時不停止の多さなどなマナーの悪さを考えると効果あると思います。

[C72] Re

東名の8車線化は将来の外環道の開通を考慮しています。厳密には外環で交通量が分散するでしょうから、そこまで8車線にするという方式です。まあ、環状線や圏央道の開通がどの程度東名に影響を与えるのか?様子を見た方が良いかもしれませんね。

圏央道4車線化や外環道千葉区間の開通>
まあ、そうですよね。外環道は2017年度で、外環の東名~関越も工事が進んでいますから、首都圏においては外環道の開通でかなり道路事情が変わると思います。ただ、外環はあくまで都心の交通限定ですから、圏央道4車線は必要ですし、横浜環状線や大宮線の延伸など、新規路線の建設は必要だと思います。
  • 2017-03-23 15:56
  • hiro1100
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hiro1100

Author:hiro1100
Hiro 1100
ドライブ、旅行好きの30代。
道路、運転マナー、海外の道路事情について、自分の思うこと、経験に基づくことを書きます。

2005年に原付で公道デビューし、2009年に4輪デビュー。2014年にオーストラリアへ渡航し、海外ドライブ開始。日本と海外を行き来しながら、生活を始める。
バイク、車で走った距離はおそらく10万キロ以上。1回も交通事故を起こしていないのは自分の自慢です。

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