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日本の都市と自動車分担率から見る日本の交通事情

自動車分担率とは?
自動車分担率とは、自動車、バス、鉄道、自転車、徒歩などの交通手段において、自動車がどれくらいの割合で使われているか?という割合を示しています。簡単に言えばその地域、および都市がどれくらい自動車に頼っているかという指標です。

この分担率は、数値が高ければ高いほど車社会で多くの人が車に依存しているということになります。一方で、数値が低ければ住民が車よりもバスや鉄道、もしくは自転車などのその他の交通手段に頼っていることになります。

今回はこの自動車分担率から日本の都市の交通事情について考えていきます。


日本における主な都市の自動車分担率


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参考:平成22年度全国都市交通特性調査より。

地域の主要都市および、大都市の近郊都市や地方の小都市など、有名な都市ばかりでなくマイナーな都市のデータも多くあります。

大都市ほど分担率が低い。
これを見ると東京、大阪とその周辺の都市は、自動車分担率が著しく低いのがわかります。たとえば東京は平日14、大阪も平日は13となっています。大都市で人口が多く渋滞が多いことや公共交通機関が発達していることから、多くが自動車に依存していないということがわかりますね。

郊外に行くと分担率は高くなりますが、それでも50を超えることはありません。たとえば首都圏の場合、さいたま市は26、横浜市は21。取手市や小田原市など首都圏の外側でも約40程度です。これを見ると郊外に出るにつれて分担率が高くなる傾向にありますが、首都圏と京阪神は地方に比べると低い水準なのかわかります。

ただし、東京、大阪は自動車の絶対数が多いためいくら分担率が低くても渋滞は深刻です。よってこの数値から大都市にはこれ以上、道路整備は不要という結論にはなりません。

大都市圏以外は分担率が比較的高い。
それ以外の大都市に目を向けてみると、東京や大阪に比べると分担率は高いです。
名古屋は約42ですが、自動車会社トヨタ本社が豊田市にあり、道路の幅も広く車線数も多いことから、首都圏や京阪神の郊外並みの分担率があります。札幌や仙台、広島なども40~50程度あり、地方の大都市は40~50が平均だということがわかります。

地方の大都市の場合、公共交通機関は発達しているものの、東京や大阪ほどではなく、かつ道路事情もそこまで切迫していないことから、車を利用する敷居が低いという理由もあるでしょう。また市街地が広範囲で続いているわけではなく、少し走れば車がないと不便な地域もあるため、2大都市圏に比べて、自動車の必要性は高いのでしょう。

福岡は35と低いですが、これは福岡市が市域が狭いことが要因でしょう。地方の大都市の場合、福岡と名古屋を除けば、多くが郊外の山間部や人口の少ない地域も含んでいるため、全体的に高く見えるだけというのもあります。実際に市街地だけで統計を取れば首都圏と大差ない数値になる可能性があります。

興味深いのは名古屋ですが、名古屋は自動車社会と言われることがありますが、地方に比べればそれほど自動車に依存していないことがわかります。名鉄を始め近鉄やJRなど鉄道もありますから、公共交通機関だけでもそんなに不便な土地ではないんでしょう。


地方都市は自動車への依存率が高い。
一方で、地方を見ていくと自動車への依存が高い地域が多く見られます。たとえば、郡山市は人口30万規模の都市ですが、分担率は68と高いです。宇都宮も66と高いです。一方で分担率の低い地域もあります。人口70万人の静岡市は46、人口50万の松山市は約50、鹿児島や熊本は約57です。北九州市は政令市ですが、大都市にしては分担率が高く約57です。

地方都市の場合、やはり大きい都市ほど自動車に依存する割合が低くなるので人口規模に比例している部分が大きいです。ただし静岡の場合はもともと清水と合併してできた都市であり、昔は人口47万程度の都市でしたので、必ずしもそうならない部分があります。

全体的に鉄道やバスが発達していたり、または地形の特質上平野が狭く、狭い地域に人口が密集しているような都市は分担率が低いです。静岡や松山はその最たる例です。一方で大きい都市でも高崎や宇都宮のように広い平野部にあり、市街地が比較的広範囲にあるような土地は分担率が高くなる傾向にあります。

中小規模の都市は分担率が高い。
人口が10万人を下回る規模の都市になると分担率は70を超えます。秋田県の湯沢市は77、富山の小矢部市は約80、山口の長門は77です。規模の小さい都市ほど鉄道やバスが発達しておらず、自動車に頼らざるを得なくなるため、数値が高くなるのでしょう。

興味深いのは沖縄の浦添市ですが、沖縄は鉄道がないにも関わらず車の分担率は65とそれほど高くないです。80くらいあっても良いですよね。まあ、バスや徒歩、自転車などで移動する人も結構多いということなのでしょう。

データにはありませんが、たとえば岩手の宮古市や北海道の北見市など規模の小さな都市や鉄道網がない都市を見れば分担率が80を超えてもおかしくないでしょう。

平日よりも休日の方が自動車の分担率が高い。

全体的な傾向としては、平日よりも休日の方が自動車を利用する割合が高くなる傾向あるのがわかります。地方では平日に分担率の低いところでも60~80にあがります。大都市圏はあいかわらず低いですが、それでも平日の地方都市レベル(40~60)まで上がる都市が多いです。

ここから見て取れるのは、休日は車を使う人が多くなるということ、自動車の交通量が全体的に増えるということです。

分担率から見て取れること。
この表から見て取れるのは、地方における自動車分担率の高さと休日における分担率の高さです。

地方における自動車分担率の高さ
大都市圏の場合、鉄道やバスがあるから、渋滞がひどいから車を利用しないという人が多いです。一方で、地方では、鉄道やバスが発達していないから車を利用する、せざるを得ないという人が多いような気がします。地方の道路事情は大都市圏に比べればマシですが、それでも都市によっては渋滞がひどいところも少なくありません。

一方で、静岡のように鉄道やバスに優位性がある(こちらの記事を参考)と、自動車よりも公共交通機関を使おうとする人が多くなる都市もあります。そうなると、地方都市だから車を利用するというよりは、公共交通機関が不便だから車を利用する。逆に言えば地方都市であっても、トラムやライトレール、バスラビットシステムなどの普及によって移動が便利になれば、多くの人がそちらの方にシフトするのではないかと思います。

つまり、いま地方が抱えているクルマ依存の問題は、比較的規模の大きな都市であれば、バスや鉄道を便利にしたり価格を下げるなどして利用しやすくする、または建設費や維持費もかからず、住民にとって気軽に利用しやすいトラムやライトレールなどの次世代公共交通機関の普及によって下げることが可能なのではないか?ということです。

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地方都市では地下鉄はコストがかかり、利用客が見込めないものの、トラムやライトレールくらいなら、それほど負担にならない。地方都市の交通事情の改善は、次世代公共交通機関の普及が効果を上げるはず。


休日における自動車分担率の高さ
一方で、休日における分担率の高さですが、これは観光、旅行および遊びを目的として車を利用する人が多いため高くなるのではないかと思います。これも公共交通機関の普及で、ある程度下げることが可能なのではないかと思います。

低価格で鉄道乗り放題キップが休日の自動車利用を抑制する。
オーストラリアのシドニーの鉄道は、休日になると約2ドルほどで全路線定額乗り放題というサービスがあります。電子切符を利用することで利用でき、都市圏の端から端まで約100kmもの区間も2ドルで乗車できるというすぐれものです。日本で言えば、200円で大垣から豊橋までJR東海道線を利用できると考えて良いでしょう。

日本においても、自動車分担率の高い地域はこの切符を導入することで、鉄道利用客が増え、自動車利用を下げることが可能でしょう。休日に都心へ遊びに行く車の利用を減らすことができます。

ETCの休日割引は合理的か?
個人的に自動車分担率が高く、多くの人が車を利用する休日に高速道路の料金を割り引くのはどうなのか?と思います。確かに休日に安い値段で高速道路を利用できるのは嬉しいでしょう。しかし、休日はただでさえ高速道路の交通量が多く、普段渋滞しないような場所でも渋滞します。たとえば東名の大和トンネル、中央道の小仏トンネルは休日の渋滞名所として有名ですよね。

休日割引で料金を安くすることで、この渋滞がかえってひどくなるのではないかということを言いたいんです。観光客が増えるなどの経済的メリットもありますが、渋滞悪化や排気ガスによる環境問題などのデメリットもあります。むしろ高くても利用する人が増えるのですから、休日は高速料金を値上げしても良いくらいです。

安くするのであれば自動車でなく、鉄道の運賃を割り引くなどしたほうが、鉄道会社も利益が出るし観光客も増えるしでメリットが大きいと思います。交通渋滞の悪化には貢献しませんし、同時に休日における自動車分担率を下げる効果もあると思います。


以上自動車分担率に関する考察でした。
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コメント

[C78] Re: 自転車の分担率も見て見たい。

自転車の分担率ですが、参考のURLから自動車と一緒に見ることができます。
都市によって差はありますが、2~28の分担率です。坂の有無や自動車利用の高さなどが関係しているようです。高いのは静岡21、
徳島、松山20、一番高いのは大阪27です。埼玉、北関東ではさいたま市は18、所沢は16、宇都宮と高崎は12です。横浜は9とやはり低いですね。最低ラインは小樽市の1、亀山の3、諫早の3などですね。

金沢は確かに北鉄石川線が中途半端なところで途切れていますね。北陸線との直通もないようですし、これものすごく利便性が悪いと思います。金沢は人口も多いので、市内に路面電車を走らせたり、おっしゃるように北鉄延伸やパークアンドライドの設置などで分担率削減の効果は高くなると思います。

税率を減らすと税収が減るのが普通の発想ですが、かえって投資の敷居が低くなり、設備投資が活発化し逆に税収が増えると考えればぜひ税率は下げるべきですよね。かつて国民に一定額1万円を支給する地域振興券というのがありましたが、お金を支給するよりもは所得税を下げたり年金を税金で賄った方が、かえって支出が減って楽になるのと似たような感じですね。
  • 2017-04-10 17:00
  • hiro1100
  • URL
  • 編集

[C77] 自転車の分担率も見て見たい。

車の分担率が分かったから今度は自転車の分担率を見て見たいです。
何故なら自転車の分担率を見ればどこが自転車が多いのか分かるからです。
個人的には東京、大阪などの大都市近郊や高松市、宇都宮、高崎などの平地が多いところは自転車分担率が高い気がします。
中でも埼玉東南部(さいたま市や越谷市など)は自転車分担率が特に高い気がします。
逆に横浜は大都市でありながら自転車分担率が低いと思われます。

それで高松市には、琴電があるし、高松築港駅〜瓦町駅の高架化及び高架下の駐輪場を整備すればかなり変わってくると思います。
それで琴電の本数を増やす事で車分担率が減ると思います。
現に松山には伊予鉄道がそれを担っているから車分担率が低い結果があると思います。
逆に金沢は中心部に鉄道がないので北陸鉄道野町駅〜香林坊駅〜武蔵駅〜北鉄金沢駅を地下鉄で運行させれば金沢市内の車分担率を減らす事も可能だし、マナーの悪い金沢の交通事情改善にもなります。(同時に北鉄2路線の直通も必要。)

鉄道や道路整備、農業などには補助金を与えるよりは設備投資の税率を下げた方が効果が出やすいです。
何故なら、補助金与えても設備投資で税金が高ければ無意味になるからです。
故に設備投資には減税し、税率を低くした方が補助金よりは効果があり、国の税収も上がります。
鉄道やトラム、道路設備なども税率を下げれば複線化や高架化などが容易に出来ると思います。

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Yasu1100

Author:Yasu1100
ドライブ、旅行好きの30代。
道路、運転マナー、海外の道路事情について、自分の思うこと、経験に基づくことを書きます。

2005年に原付で公道デビューし、2009年に4輪デビュー。2014年にオーストラリアへ渡航し、海外ドライブ開始。日本と海外を行き来しながら、生活を始める。
バイク、車で走った距離はおそらく10万キロ以上。1回も交通事故を起こしていないのは自分の自慢です。

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