Entries

無駄な道路事業について考える。無駄な道路事業とは何か?

今回は、建設しても採算が取れない、交通量が見込めない無駄な道路事業について考えていきたいと思います。


無駄な道路事業とは何かと考えると、シンプルにいえば新規路線の必要性が薄い地域、もしくは採算が取れず建設コスト、維持コストだけが高くつく道路(高規格道路)を建設するということでしょう。

ここ最近、日本各地で暫定2車線(対面通行)の無料高速道路が建設されていますが、これらは上記の理由から無駄な道路事業としてあげられることがあります。過去に遡ると、新東名や新名神高速が不必要と主張する人がいたり、部分開通している高速道路で交通量が少ない道路、たとえばかつての道東道の十勝地区や名港トリトンなどが無駄な道路として取り上げられることがありました。

無駄な道路事業はどのように定義するのか?
その道路が必要か不要かどうかは、その道路の必要性の根拠や、地域の道路事情、その他、天候や地形、経済など様々な事情、国やその地域の財政状況なども踏まえて考える必要があります。渋滞している路線や混雑している路線については、交通学的指標、交通容量や旅行速度、大型車混入率なども考慮して考える必要があるでしょう。

単純にその時の交通量や路線の収支状況、その地域が田舎だから都会だから、渋滞している渋滞していないなどで不要論を語るのは愚の骨頂で、そんなに簡単に決められることではありません。

また、この道路は100%不要、必要と定義するのも難しいものがあります。必要とされる路線も、別の角度から見ると不要だったり、その逆もあります。変な言い方ですけど50%は必要だけど、50%は不要だとかそういう路線もあるわけですすね。

さらに言えば、国や地方自治体、ネクスコなどが、高速道路を建設するだけの必要な資金を確保できなければ、仮に必要な路線であっても、優先順位の低いものから不要な路線として選ばれます。今の日本の状況を考えると、本当に必要な路線を除けば、優先順位の低いものは造らない方が良いと思われても仕方がないと思います。



ここで無駄な道路事業としてあげられるもの、あげられたものを上げていき、個別に考察してみます。

厚木秦野道路
自分のブログでは無駄な事業として厚木秦野道路について取り上げています。これは9割型不要であるという形で書いています。詳しいことは下記の記事を参考にしてください。
参考記事:厚木秦野道路は必要なのか?

246hadano01.jpg
国土交通省 関東地方整備局 横浜国道事務所より引用

この道路事業を珍味してみると、まず有料道路であるという点があります。有料にすると、かつての静岡県内の国道1号のバイパスのように多くの車が使わない傾向が強くなります。国道246号のバイパス道路なわけですけど、有料にしたらおそらく多くの人は現道を走り続けるでしょう。
第二神明のように使われるケースもありますけど、第二神明は料金が安いし、ほかの高速道路と接続しているし、並行する国道2号が貧弱だから利用されています。あとは交通量の絶対数が多いからというのもありますね。

しかし、厚木秦野道路は、厚木側で国道246号と接続しておらず、東京方面向かうのに不便であるという点もあります。交通量の絶対数は多いでしょうけど、そもそも暫定2車線という時点であまり交通量を見込んでいないんでしょう。また、近くには東名、将来は新東名も走りますから、有料道路を使うなら、多くの人は東名や新東名を使うでしょう。そもそも地図上で見ても、この地域だけ3本も有料道路があるのは不自然です。ここに3本も通すなら、大和トンネルに並行して1本、国道16号沿線や多摩地区に高速道路を通す方がまだ必要性は高いでしょう。

この道路の場合、人口の多い地域を通るので素人目では必要性が高いと考える人はいるでしょうが、よくよく調べてみると、必要性が疑問視される道路ということがわかります。

この道路に関しては道路計画を変える必要があると思います。有料ではなく無料にするか、厚木側で国道246号と接続させるか、そもそも一般道のバイパス道路にするか、東名や新東名を有効活用するか?などです。そうすれば、必要性は高くなると思います。


山陰自動車道
鳥取市から下関市までの国道9号、191号に並行して走る全長380kmの高速道路です。この道路が取り上げられるのは人口が少ない山陰地方を通ることや、交通量が見込めないことが理由ですね。

しかし、実際に交通量が少ないのか?というと開通している部分を見るとそうでもないのですね。

2017y07m03d_2136055987.jpg
山陰自動車道の交通量(鳥取~出雲間のみ) Wikipediaより引用

sanin Exp Hawai
山陰自動車道の道の駅はわい付近、ガラガラなわけではない。

宍道JCTから青谷ICまでの開通している部分(一部未開通区間があるが、ほぼ1つの路線として繋がっている区間)は交通量が常に1万台を超えており、多い所では5万台にまで増える区間もあります。これは開通当初から無料である区間が多いのが理由でしょう。特に米子から鳥取までは山陰道が開通したおかげで国道9号の交通量(主に通過交通)が山陰道へシフトし、混雑が緩和されました。むしろ、この交通量であれば4車線化を検討してもよいくらいですが、ここだけを踏まえれば、山陰道が不要な道路とはいえないでしょう。

良く山陰地域は人口が少ない、田舎というイメージをとらえる人が多いですが、鳥取から出雲の区間(約150km)に関してはそうでもないです。鳥取・米子・松江・出雲など中規模の都市があるし、小規模の町村も連続してあります。鳥取県は日本一人口が少ない県といういい方がされますけど、面積はどうかというと約3500㎢で、これは大阪府や東京都の面積より少し多い程度で、人口密度はそれほど低くありません。さらにいえば、人口がこの面積全土に分散しているわけではなく、鳥取や米子、さらには国道9号沿線に比較的多く住んでいることを考えると、山陰道が走る地域というのはど田舎というレベルでもないんですね。

つまり、単純に人口の多い少ないなどで決めつけてかからない方がよいということです。

一方で宍道より西側、浜田市や益田市、山口県北部を通る区間は、確かに必要かどうか?疑わしい部分もあるでしょう。浜田市や益田市の市街地部分などのバイパス部分については必要でしょうが、それ以外の部分は現道改良でなんとかならなかったのか?と思えます。

2017y07m04d_105430866.jpg
山陰自動車道の交通量(出雲以西) Wikipediaより引用
一部区間を除き、交通量は1万台を下回る。

sanin EXp hamada
浜田市付近の山陰自動車道。交通量は少ない。

日本で高速道路の必要性が問われるのは、この国道9号・191号沿線のような人口が少ない地域が多いですね。ほかの例としては国道42号の走る紀伊半島、国道52号の走る中部横断道路沿線、国道55号の走る高知東部、徳島西部、国道220号沿いなどがありますね。

ただし、小規模ながら集落が多い地域もあり、そういう場所では改良するよりも新規に造った方が良いというケースもあるでしょう。日本の場合、北海道を除くと人口が少ない地域でも小規模な集落が続く場所が多いです。これはオーストラリアやニュージーランドのように人口が日本より少ない欧米国家の基準で見ると、人口の多い地域、断続的に高速道路を造る必要性のある地域となります。一般国道(バイパスや専用道ではない国道)は80~90k/hで走れるようには造られていないので、高速化が必要であれば、自動車専用道路を造る必要性はあるでしょう。
さらには緊急車両が最寄の施設に円滑に到着できるようにするため、災害時における緊急交通路の確保という点も考慮すれば、ないよりはあった方が良いことは明白です。

ですが、これに対する反論もあります。道路の高速化が必要といっても、別に交通手段は道路だけではないわけで、鉄道や飛行機もあります。道路が駄目でも鉄道や飛行機でのアクセスが便利であれば良いでしょう。むしろ、新規道路を建設するよりも今ある交通手段を便利にする方向性、特急列車のスピードアップ、飛行機の価格の割引、海上交通の活用などを行った方がコストはかからないし、効用が高くなるケースもあるでしょうし、その逆もあるでしょう。
また、道路を改良するにしても現道を少し走りやすくするだけでも良い場合もあるでしょう。片側2車線化、70-80k/hで走れるような道路に改良する。新規道路建設よりもむしろその方がコストも低く、効用が高くなるケースもあるわけです。もちろんその逆もあります。

このように、高速道路の必要性を問うにしても、様々な事情を考慮すると必要なのか不要なのかわからなくなってきます。今の日本の高速道路は本当に必要な部分はほぼ完成しており、残りは上記のような不要か否かが議論されるような区間がほとんどです。また、今計画中、建設中の高速道路の多くは上記のような必要論、不要論が50:50のような路線が多くを占めるでしょう。

伊勢湾岸自動車道
伊勢湾岸道は今では名古屋地区の大動脈として機能しており交通量も非常に多い路線ですが、かつて名港トリトンのみが部分開通していた頃は真っ先に不要な道路として取り上げられていました。2005年に豊田~四日市まで繋がるまでは交通量も少なかったのですが、全通後は交通量が増加し、名二環や東名の交通量がこちらにシフトしました。また、2008年の新名神開通後はさらに増加し、豊田~大津間の大動脈として機能しています。


2017y07m04d_110753399.jpg
伊勢湾岸自動車道の交通量 Wikipediaより引用

2017y07m03d_215312915.jpg
交通量の多い伊勢湾岸自動車道

名港トリトン部分がいらないと槍玉にあげられた理由は、交通量が少ないのに車線数だけが多く、お金をかけて贅沢な道路を造ったという点にフォーカスしすぎた点でしょう。まあ確かに、建設コストはかなりかかっているようです。しかし、この道路が将来必要な路線になるのは少し調べればわかったことです。その当時はここまで交通量が増えることは予想できなかったといういい方もできますが、道路地図を見ても、この当時では建設中、計画中路線として示されていたし、何より新東名・新名神の一部として機能する道路ということも、調べれば理解できるはずです。

高速道路必要・不要論を論じるときに、その道路に100%熟知する必要はないですけど、ある程度の知識は持っておいた方が良いでしょう。伊勢湾岸道に関してある程度理解していれば、この当時、このような不要論は出てこなかったはずです。

メディアの報道はその地域の事情をまったく考慮していない偏向報道であることが多いです。伊勢湾岸道のような本当は必要な道路を不要だと報じる一方で、厚木秦野道路のような不要な路線に関しては何も報道しないことがあります。メディアなどで代々的に報道がなされても、それは疑ってかかるべきで、それに納得できる理由がなければ説得力は全くありません。

まとめ
ここで言いたいことは何かというと、道路が必要かどうかはよく検討していかないと本当のところはわからないのであり、不要論を主張するのであれば、その前提となる知識を踏まえたうえで、根拠や大替案などをしっかり掲示するべきということです。別に知識がないなら議論するなといっているわけではないですよ。そうなると素人の自分がブログを書くことだってできなくなるわけですからね。別に素人目で不要、必要を語るくらいだったらいいわけです。

ただメディアのような公の場で不要な道路をランキング付けしたり、単に交通量が少ない、人口が少ない、政治家うんぬんだけで不要と決めつけるのはやめた方が良いと思います。メディア側の立場として報道するのであれば、それは中途半端であってはならないし、逆にいえばそんな尺度でしか語れないのなら、日本のメディアの質は著しく低いということになります。
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://traffical.blog.fc2.com/tb.php/78-6ea398d2

トラックバック

コメント

[C108] 東京の湾岸地区は無駄な道路が多い。

道路や鉄道は蓋を開けなければどれ位の利用者がいるのかわからないし、無料にして良い場所としてはいけない場所がある事も述べておく。
阪神高速5号湾岸線や山陰道、日本海東北自動車道などは必要なのに対し、首都高10号晴海線、厚木秦野道路、中央道以北の中部横断道は無駄だと思います。
と言うのも晴海線や厚木秦野道路は言わずもがな、中央道以北の中部横断道は長野道がある事、141号自体が余裕ある事が挙げられます。
逆に中央道以南の中部横断道は中央道が渋滞した際、新東名に車を流せる利点があるから全線有料にしないと新東名にシフトできない事、中央道の拡張及び補修工事がやり難くなるから、必要です。
後は名二環の東名阪道〜伊勢湾岸道も必要ない。
こちらは東海環状道を4車線にすれば三重〜北陸の移動が楽になるし名古屋地区は一般道の方が充実しているから名二環西地区は不要と分かる。

最もメディアの問題は日本だけでなく欧米でも同様の問題を起こしています。
欧米メディアはどういう訳か同性愛をゴリ押しする風潮やロシアを敵視する報道が目にあまります。
実際、ロシアは同性愛を肯定する事を禁じる同性愛宣伝禁止法が制定されて、未成年の子供に同性愛を肯定する事を教えたら、罰せられる法律で欧米はあたかもゲイを迫害していると誇張しているから問題になります。(実際、この法案の影響でロシアに来る欧州の観光客は対露制裁もあって激減している。)
後、日本や欧米などの西側メディアは緊縮財政を美談する傾向があり、やたら無駄を言いますが、新東名の猪瀬ポールの件でケチくさい事をやると返って無駄が出る事が明らかになったし、ドイツの緊縮財政の成功はドイツだけがユーロでボロ儲けしただけだった。
緊縮財政を好むメディアに限ってメルケルやマクロンを美化してトランプやルペンを敵視する傾向があるが、ルペンやトランプが躍進した理由をちゃんと調べないといけないと思います。
故に地政学や交通量、代替などを考慮して道路や鉄道建設を議論し、同時に緊縮財政を止めるやり方は必要だと思いました。

長文、失礼しました。

追記
晴海線以外にも東京ゲートブリッジ、11号台場線、9号深川線なども正直高速として必要なのか疑問です。
こう言う道路を作らなければ10号練馬線や外環道、東八道路に金が回せたのではないだろうか?
都内東部(主に東京駅以東。)は碁盤の目で西側に比べたら渋滞も少ないから、これ以上、道路を作る必要はないと思います。

[C109] Re

首都高10号晴海線>
これは都心環状線まで繋がれば意味があると思いますが、今のまま続くと考えると、必要性が問われますね。どうしてあんな中途半端な形で造ったのか?ですね。

中部横断道>
これですが、141号区間は僕も必要性に疑問を感じます。一方で52号沿線ですが、これは蓋を開けてみないと分からない部分はあります。静岡は意外と人口が多いし、首都圏からそれほど離れていないしで、交通量が増える余地はあります。一方で、対して増えない可能性もあります。

名二環>
ああ、よく考えるとそうですね。確かに中長距離で移動する場合は必要性が薄いでしょう。ただ、名古屋大都市圏の外縁で、交通量の絶対数は多いですし、名古屋の短距離移動に使われるでしょうから、そこそこ交通量は増えるのではないでしょうか?まあ、並行する国道302号を高規格にしてもよかったと思います。

ロシア>そんな法律ができたのは以外ですね。僕は同性愛肯定でもないし、否定でもないですけど。
まあ、それはいろいろ言われても仕方がない部分はあると思います。

同性愛うんぬん>オーストラリアにいた時は、知り合いに同性愛者には意外といい人が多いよという話は聞いたことはあります。

緊縮財政うんぬんは、まあ先進国はどこも財政赤字で、オーストラリアでさえもそうですから、そうなるのはある意味仕方がないとも思います。ただ、真意はおっしゃるように、闇雲な財政緊縮は、かえってマイナスになるだけですから、必要なものにはたとえ、緊縮でもお金はかけた方が良いですね。

東京の道路についてはまた調べたうえで書いていきたいと思います。
  • 2017-07-08 21:57
  • hiro1100
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Yasu1100

Author:Yasu1100
ドライブ、旅行好きの30代。
道路、運転マナー、海外の道路事情について、自分の思うこと、経験に基づくことを書きます。

2005年に原付で公道デビューし、2009年に4輪デビュー。2014年にオーストラリアへ渡航し、海外ドライブ開始。日本と海外を行き来しながら、生活を始める。
バイク、車で走った距離はおそらく10万キロ以上。1回も交通事故を起こしていないのは自分の自慢です。

Youtubeチャンネル

ツイッター

スポンサードリンク

カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

つぶやき