Entries

浜松都市圏の交通事情について考える

静岡、沼津・三島と扱って次は浜松を扱います。浜松は静岡県西部にある工業都市で人口は79万人、都市圏人口は周辺を含めて約114万です。なおここでいう浜松都市圏は浜松、湖西、磐田、袋井、掛川、菊川、森、御前崎を含みます。要するに静岡県西部ということですね。

浜松は東西に縦断する新東名・東名・国道1号が走っており、浜松市から国道257号・152号・150号・301号などのローカル国道が郊外に延びています。鉄道は東海道線・東海道新幹線があり浜松の外側を走る天竜浜名湖鉄道と浜松から天竜まで走る遠州鉄道があります。

浜松の道路事情:比較的整備された道路網
浜松の道路網は全国平均で見ると遅れているわけではありません。どちらかというと比較的進んでいる方だと思います。市内には多車線道路もあるし、バイパスも完成しているし、環状線もある。高速道路も2本あるしで、かなり充実していると思います。

もっとも、その中で不十分なところもあるので、いくつか気になる部分をピックアップします。

国道150号(浜松~御前崎)
この路線はローカルな道路ですが、静岡まで繋がっているので1号の裏道として利用されています。ちなみに浜松~磐田に関しては掛塚橋を中心に混雑がひどいので、遠州大橋を建設し、さらにそのバイパスの延伸が進められています。この道路は最終的に県道41号付近まで繋がるようですが、ここ10年事業が全く進んでいません。これ、造るならちゃんと造るか、掛塚橋付近だけうまくバイパスできるような形にして、遠州大橋も無料にした方が良いと思います。掛塚橋付近は国道としては狭い箇所を通るので、南のバイパスを本道にして、車をシフトさせた方が良いでしょう。同様に、浜松市内の国道部分は国道としては貧相なので、これも走りやすい道路に路線変更するか、国道150号自体を1号線を終点にした方が良いでしょう。
2017y07m22d_132954724.jpg
有料道路の遠州大橋。将来はこちらが国道150号本線になり、幹線道路として機能する。


なお、県道41号より東側ですが、どうも4車線のための用地が確保されている感じで、将来は4車線化されるようです。御前崎からじわじわ拡張工事が進んでいますが、やるのであればさっさとやってほしいと思います。
2017y07m22d_133201509.jpg
少しずつ進む国道150号の4車線化。御前崎市の道の駅より少し先。

国道152号
浜松市内の東海道を走る部分は、柳通りに変更した方が良いでしょう。こちらの方が走りやすいからです。天竜の市街地を走る部分のバイパスが建設中ですが、これが完成すれば概ね国道152号は良いでしょう。あと細かい部分だと、山間部の改良工事(対面通行の確保)ですね。

2017y07m22d_133442799.jpg
狭い旧東海道より、片側2車線の広い柳通りを国道152号に。


国道257号
浜松市内の部分はバイパスが途中で途切れていますが、そちらを本道にして152号までの市道を国道にした方が良いでしょう。現在指定されている道路は国道としてはとても貧相な道路です。

2017y07m22d_133634166.jpg
浜松市内の国道257号、国道152号線との交点付近。このような道路が幹線道路である国道として指定されているのはおかしい。

国道301号
湖西市の途切れているバイパス部分はなんなんでしょうね。道自体は繋がっているのなら、バイパスを本道にして市街地を走る部分は国道指定から外すべきでしょう。
2017y07m22d_133901844.jpg
国道301号のバイパスが途切れる交差点。この先も国道301号にして、鷲津の中心部を走る部分は国道から外した方が良い。

国道362号
住宅地を走る狭い道路区間のバイパス建設と山間部の改良が必要です。
2017y07m22d_134104728.jpg
住宅地を走る国道362号。

県道65号(浜松環状線)
東側の一部(東名の北側と遠州西ヶ崎駅付近)は狭い住宅地の道路を走ります。ここだけ、未改良なのでちゃんと改良した方が良いでしょう。
2017y07m22d_134248584.jpg
遠鉄との踏切がある浜松環状線の未改良区間。この部分がちゃんとした幹線道路でないと、磐田~国道152号・257号の外環ルートが完成しない。

以上みていくと浜松の主要幹線道路は、一部のバイパス建設が必要ですが、それ以外は概ね整備されています。細かい部分はいろいろあるでしょうけど、積極的に新規の道路事業を進める必要性はないでしょう。むしろ、中途半端に指定されている国道や県道を見直す必要があります。これについてはこちらの記事も参考になります。
個人的には今後は市街地活性化と合わせて公共交通機関中心の都市を目指すべきだと思います。


国道1号(広域幹線道路としての整備)
浜松都市圏で重視すべき道路としては国道1号があります。国道1号は大部分がバイパスで整備されて走りやすい道路になっていますが、同時に交通量が多く、渋滞が多い路線でもあります。
かつて天竜橋が4車線だった時には、醜い渋滞が発生していましたが、8車線化されたことで混雑が緩和しました。さらに袋井・磐田バイパス4車線化されたことで、1号の流れはさらに良くなり、浜松~袋井まで4車線のバイパスが完成しました。
しかし、この影響か、掛川バイパスや日坂バイパスで車の流れが悪くなってきています。このバイパスですが、交通量は既に飽和状態です。特に日坂バイパスに関しては、上り線の場合登り坂となり速度が落ちます。ここに、速度の遅い大型車両がいると、とたんに車の流れが悪くなり40k/hくらいまで速度がおちることがあります。ここは本来なら登坂車線があっても良い区間なのですが、それがありません。

2017y07m22d_134612818.jpg
対面通行の掛川バイパス

同様に、愛知県の県境にある潮見バイパスも対面通行で車の流れは良くありません。最近の交通量調査では1日当たり3万台の交通量があるようです。この数値は4車線にしないと混雑するレベルです。掛川、日坂も実態としてはこれくらいの交通量でしょう。個人的に静岡県内の国道1号のバイパスはすべて4車線化する必要があると思います。逆にこれら3つのバイパスの4車線化が完了すれば、西部の1号線の改良はほとんど完了したといってもよいでしょう。

浜松バイパス:信号のつなぎの悪いバイパス
最後に浜松バイパスですが、この部分のみ平面交差区間が多く信号があります。また、その信号のつなぎが悪く頻繁に止められます。さらに、中田島交差点から国道150号が交差する辺りまでは、幹線道路と交差する道路が多いため赤信号の時間が長く渋滞も頻発しています。
2017y07m22d_134802267.jpg
浜松バイパス

せっかく両端のバイパスが信号のないバイパスで整備されているのに、この部分だけ平面交差で走りにくい道路となっているため、浜松バイパス区間がボトルネックになっています。静岡西部、豊橋などの地域間の移動ルートとしては大きなマイナスです。

この区間は幹線道路と交差する交差点を立体交差にする、信号をできる限り撤去するなどして、交差する道路とはアンダーパス、オーバーパスにした方が良いでしょう。そうすることで、静岡県内の国道1号はほぼ高規格道路で整備される形になります。立体化にしなくとも、せめて信号の連動をよくして、スムーズに走れるようにした方が良いでしょう。

高規格化による東名からの交通量シフトの恐れ
なお、あまり高規格化してしまうと、将来名豊国道が全通したときに、東名から長距離移動の車がながれてくるのではないか?という懸念があります。確かに袋井から名豊国道も合わせて、名古屋までほぼ信号のない道路が続くとなれば、ある程度は流れてくるでしょう。

ですが、静岡県の道路事情を語る場合に、国道1号、東名、新東名それぞれの交通事情(東西を縦断する交通量の多さ)について考慮する必要があります。これら3つの道路は全国的に見ても交通量が多い路線であり、多車線ないとさばききれない交通量があります。
なぜこんなに交通量が多いかといえば、東京・名古屋・大阪に挟まれ、双方を移動する通過交通が非常に多いことに加え、静岡県自体も人口が多いため、交通量の絶対数が多いからです。東京~大阪にかけては世界でも有数のメガロポリス、人口密集地帯であり、このような例は世界的に見ても(特に先進国の中では)例がありません。ブルーバナナ(西欧)やボスウィッシュ(アメリカ東海岸)のメガロポリスよりも大きいでしょう。

ですから、高速道路が1本2本あるくらいでは十分に対応しきれないし、国道も対面通行や信号のある道路では十分に交通量をさばくことができません。今の交通量を考えると、長距離移動の東名、新東名とローカル移動のための国道1号バイパスの3本の高規格道路があってようやく十分というレベルです。4車線化、連続立体交差が必要というのは交通容量そのものの増加と円滑化が必要だということです。

また、高規格になっても所詮は一般道であり、いくら走りやすくなっても制限速度80~100k/hの東名高速よりは速くなりません。
また、浜松~名古屋に関しては東名高速からかなり離れた地域を走り、完全に競合関係にあるわけではありません。
むしろ東名から離れている湖西、豊橋、蒲郡、西尾、知立方面への高規格道路でもあるわけで、地域交通の流動を考えた時に、ここだけ平面交差というのはマイナスです。

加えて全通したとして名古屋まで走る場合、浜松の部分がスムーズになっても、別の場所がボトルネックになります。例えば名古屋手前の知立バイパスです。あの辺りは高規格化されてもなお、交通量の絶対数が多いので流れが悪いです。全通して交通量が増えたとしたら、あそこがボトルネックなるでしょう。また、蒲郡バイパスも当分対面通行は続くでしょうから、バイパスが有利になることはありません。
2017y07m22d_135135748.jpg
浜松から連続立体交差、4車線化になったとしても、もともと交通量の多い名古屋付近で流れが悪くなるため、時間短縮効果は薄い。


自動車社会からの脱却
浜松の場合、通過交通の多い国道1号はしっかり整備するとしても、全体的には行き過ぎた自動車社会からの脱却を進めた方が良いでしょう。浜松市は静岡市と違って、自動車の利用率が高く市街地の空洞化が激しい典型的な地方都市です。もっとも静岡ほどゴミゴミしていないし、道が広くて走りやすいというのはありますけど、それは言い換えれば中心部に活気がないことでもあります。放置していても良いことはないので、何か対策を打つ必要はあるでしょう。

可能性としてはBRTとかLRTとかの次世代公共交通機関の普及などがありますね。歩行者が歩きやすい街を作るとか、郊外の駅にパークアンドライドをもっと普及させるとかもあります。人口は多いし、都市圏単位で見れば100万都市圏ですから、公共交通に対する潜在需要はあると思います。
参考:浜松の LRTの路線構想図
市内の各地にLRTを走らせるという大きな計画です。

なお、遠鉄バスや遠鉄路線があるし、東海道線もあるだろうという意見がありますが、僕が言いたいのは車よりも公共交通機関の方が便利な都市を目指した方が良いということです。新規路線にしてもより細分化した需要に答える、鉄道がない地域へのLRT建設や、バスの速達性向上という名目でのバス専用道路によるBRTの運用などを検討した方が良いということです。新規路線を作らない場合は、いまある路線をより便利にするという方向性もあります。今の状況は、鉄道やバスはあるけど、車の方が便利という状況でしょう。それに鉄道やバスがあっても中心部は空洞化しているでしょう?まあ、この辺りは未知の部分でいろいろ物議を醸すと思いますけど、進むべき方向性としてはその方が良いのではないかと思います。

スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://traffical.blog.fc2.com/tb.php/84-bdb41aaa

トラックバック

コメント

[C121] Re: LRTの件など

> 浜松の道路整備は宇都宮の件と似ていると感じました。
浜松の場合は南北で待ちの具合が違うという感じでしょうか。北部の場合は旧市街地ですが南部は後から市街地が広がった感じがありますからね。

浜松のLRTは参考URLを見ると、市内全域を横断するような形になっています。これだけ建設すればすごいでしょうけど、同時に採算が取れるのかも疑問です。

浜松の場合、まず高架の浜松駅を通過して、南部北部の人口密度が高い地域に走らせるような形にした方が良いでしょうね。もちろん遠鉄が通らない地域にフォーカスしてですけど。そうなると、浜松駅が高架化しているのは確かに幸いしていると思います。

天竜浜名湖鉄道との直通>
どうなんでしょう。浜松中心部との利便性を考えるなら、引佐や三ヶ日から浜松まで利用する人がどれくらいいるのかにもよります。それだと、LRTをショートカットで建設した方が良いとも思います。
ああでも、天竜二俣方面(天竜の市街地)への直通はあってもよいと思います。

自転車>
自転車へのシフトは賛否両論があるようですが、確かに大都市や坂の多い都市だと普及しにくいし、大都市の場合却って自転車で混雑するみたいな状況もでてくるので、歩行者が生活しやすい街を目指した方が良いですね。
もっとも、地方都市でもそんなに人口が多く無く、平野が広い地域は、自転車が利用しやすい環境にあるので、自転車が走りやすい環境を作るのは悪く無いと思います。自分の住んでるところ(焼津市)もそうですが、単純に車の利用を減らすのであれば、自転車専用レーンとかあれば、車を使う人がいくらか自転車にシフトするでしょう。

もちろん、自転車と歩行者との問題や、自転車のマナーの問題もあるのでそういう部分も、しっかり取り組んでいく必要があると思いますが。


箱根って結構不便なんですね。まあ、確かに坂の多い所だから自転車は論外だし、歩くのも楽ではないですけど。例えば湯本とかは結構人通りが多いし、外国人観光客も多いので、もっと歩行者のための施策があってもよいと思いますけどね。

  • 2017-07-24 12:24
  • hiro1100
  • URL
  • 編集

[C120] LRTの件など

浜松の道路整備は宇都宮の件と似ていると感じました。
宇都宮の場合、駅の東西で街の具合が異なり、市街地側の西側は空洞化が激しく東側は新規住民が多い傾向があります。
その為、東武宇都宮駅〜JR宇都宮駅をLRTを通す計画があるが、個人的には先にJR宇都宮駅の高架化を優先した方が良いように思います。
実際、LRTの一体化を優先の為、富山駅や松山駅では先に高架化してLRTを作る計画があります。
LRTの場合、先に中心駅の高架駅は必須となります。

富山駅の場合、LRTの整備は重要だが、富山地方鉄道の整備をきちんとしても良いと思います。
富山地方鉄道が魚津駅まで複線化すれば、あいの風とやま鉄道との競合効果で鉄道利用を促進できる可能性があり、特に富山駅や魚津駅などでパークライドを利用して促せる事が可能になるからです。
宇奈月温泉駅や立山はマイカー規制があるからこれも一理あるかと思います。

因みに浜松駅の場合、宇都宮駅よりLRTが容易になります。既に浜松駅が高架駅だから線路を跨ぐ事が可能だからです。
更に遠州鉄道と天竜浜名湖鉄道を直通運転も検討した方が良いかもしれない。
何故なら天竜浜名湖鉄道は中間駅で苦戦しているからそういった区間は遠州鉄道の規格に合わせて利用者を集める方が現実的かと思います。

尚、名鉄太田川駅や京急蒲田駅、京成青砥駅は2層高架で平面交差を解消し、空港線客の利便性を高めている。
何方も空港絡みだが2層高架すると鉄道の平面交差が解消した事例から高架化する際には平面交差解消も必要になるだろう。

最もロシアのモスクワやサンクトペテルブルク見たいに道路や鉄道(路面電車もあります。)を整備しても道路渋滞と鉄道混雑が酷い事例から、公共交通機関だけに移行するのも危険であり、レンタルサイクルなどの自転車は却って空洞化を誘発しかねない。(そもそも自転車は軽車両なので街の立ち寄る機会を失いかねない。)
箱根は登山鉄道に依存しすぎで歩道がないから観光客には敬遠される。

そう考えると市街地や観光地の空洞化を防ぐには歩行者が街を巡りやすい体制に整えないといけなくなる。
結局、市街地移動に公共交通機関を含めた乗り物は負の面しかならない事を知らないと日本も欧米もシャッター通り対策が無意味になるだろう。

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Yasu1100

Author:Yasu1100
ドライブ、旅行好きの30代。
道路、運転マナー、海外の道路事情について、自分の思うこと、経験に基づくことを書きます。

2005年に原付で公道デビューし、2009年に4輪デビュー。2014年にオーストラリアへ渡航し、海外ドライブ開始。日本と海外を行き来しながら、生活を始める。
バイク、車で走った距離はおそらく10万キロ以上。1回も交通事故を起こしていないのは自分の自慢です。

Youtubeチャンネル

ツイッター

スポンサードリンク

カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

つぶやき