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西九州道の4車線化と有料化について考える。




以前から4車線化の必要性が問われていた区間ですが、拡幅のための財源を確保する目的で佐々IC~佐世保中央ICを有料化することが決まったようです。

西九州道のうち今回取り上げる区間「佐々IC~佐世保大塔IC」は、佐世保市の市街地および都市圏にかかる部分で全線が暫定2車線で整備されています。無料区間である佐々ICから佐世保中央IC間は交通量が多く混雑する区間で4車線化の必要性が問われていました。


4車線化が必要ではあるものの、財源確保をどうするか?という点で議論がされており、最終的に無料区間である佐々IC~佐世保中央IC間を有料化して財源を確保する方向で決まったようです。具体的には区間内のインターで乗り降りする場合は無料で佐世保中央ICより先も継続して利用する場合は有料にするようです。ただ、上記の記事には佐々IC-佐世保中央ICの料金は普通車で220円とする方向と書いてあり情報が混乱するのですが、要するに短距離移動は無料のままで中距離以上の移動は有料化する方向性のようです。

個人的には、ただでさえ日本の高速料金は高いのに、今まで無料だった区間も有料にして利用者に負担を強いるのか?もっと別の形で財源確保をできないのか?と思います。しかし、よく調べてみると有料化の必要性は低くないと思いました。いくつかの情報を元に考えていこうと思います。


参考動画:西九州道(相浦中里IC~武雄JCT)の動画(他の方の動画です)。


西九州道の交通量と有料化の考察

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引用:国土交通省交通センサスおよびWikipedhiaより

この中では武雄南ICから佐世保中央ICまでが有料で、それ以外は無料です。日本の自動車道の交通量の典型として、無料区間は交通量が多い一方で有料区間は交通量が減少する特徴があります。この区間も同じ傾向でそれにも関わらず有料化するのかと思いましたが、これを見るとそのような傾向はほとんどありません。確かに平成27年においては、無料区間の佐世保中央IC以北の交通量が2.9万台であるのに対し、それ以南の有料区間は1.9万台まで減少しています。
しかし、それでも交通量は2万台近くに達しており、佐世保みなとICから大塔ICにかけては2.8万台まで再び増加しています。

有料とはいえ、それなりに利用されているということが伺えますね。もし、西九州道がさらに北へ延伸した場合、さらに交通量が増える可能性もあるでしょうし、4車線化によって更に交通量が増える可能性もあるでしょう。


佐世保市とその周辺は10年以上前にバイクで走った経験があるだけなので、市内の道路事情は詳しくありません。ですが、いろいろと調べていくと、佐世保市の特徴として狭い範囲に市街地が形成されており、狭い道も多いため道路事情はそれほど良いわけではありません。特に市内を縦断する幹線道路が国道35号と西九州道の2つに集約されているため、この2つに交通量が集中する傾向もあるようです。西九州道の料金ですが、佐世保大塔~佐世保中央間を利用しても150円で料金が高いわけではありません。この料金であれば、確かにドライバーも利用しやすいでしょう。

仮に佐世保中央IC以北が有料化されても、大塔ICから佐々ICまでであれば+220円で370円なのでドライバー側の負担もそれほど大きくないと思えますね。

有料化によるデメリットを考える。
一方で有料化によるデメリットも考えてみます。懸念される点としては、有料化することでこれまで自動車道を利用していた車が一般道を利用するようになることがあげられます。上記の交通量のデータでは、平成22年は無料化の実験を行っていたため、交通量が増加しています。一番多い区間では佐世保大塔IC~佐世保みなとIC間で4万台近い交通量がありますね。しかし、平成27年には再び有料化されており、交通量は減少しています。確かに料金自体はそれほど高くないし、短距離利用は無料のままなので、それほど大きな変化はないと思われます。

ただし、料金が安いといっても利用頻度が多ければ負担になります。例えば通勤で利用するとして、片道370円でも往復では740円ですよね。それが平日の5日間続くとすれば1週間で3700円になります。日常的に利用する人にとっては数百円程度でもそれなりの負担になるので、有料化で一般道へ流れる交通量は一定数あるでしょう。

有料化せずとも財源確保が可能ではないか?
単に財源確保のためだけに有料化するのであれば、個人的には賛同できない部分もあります。前述したとおり自動車道の交通量が減少して、逆に一般道の交通量が増加して交通環境が悪化するだけであれば、自動車道の存在意義が薄くなります。そもそも交通量が減少して4車線化する必要がなくなったなんてこともあるかもしれませんね。

財源確保うんぬんとはいいますが、本当に財源がないのか?利用者に負担を課す前に、国にしろ自治体にしろNEXCOにしろ別の方法で財源を確保する方向性もあるのではないか?とも思います。たいだい、国も地方も無駄なハコモノばかり建設しているし、必要性が疑わしい道路ばかりを建設しているしで、無駄な部分を削減して、本当に必要な部分に予算を回すべきではないか?とも思います。

この辺りの話は言いだしたらキリがないですし、知らない部分も多いのですが、まあ多くの人達が感じていることですよね。

日本各地の自動車道が有料化される懸念
個人的には、もともとの交通量の多さを考えると西九州道の有料化については全く暴論ではないと思います。ただし、これが先例となって、現在無料化されている自動車専用道路が4車線化の財源確保を目的として有料化もしくは料金が値上げされる可能性はあるでしょう。

路線によってケースバイケースですが、全体的に考えるとこれは利用者の負担が増えるだけでマイナス面の方が大きいと思います。今も高い料金を払っているのに、更に料金を課すのか?というレベルですし、自動車専用道路が利用されなくなり、多くのドライバーが、長距離ドライバーでさえも一般道を利用するようになり、交通量が増加し一般道の道路環境が悪化する恐れがあります。

例えば鳥取~米子にかけては無料の山陰自動車道がありますが、この自動車道が開通している部分の国道9号は交通量の大部分が山陰道へシフトしています。これは理想的な道路環境だと思います。なぜなら、市街地や集落を走る国道9号は交通量が減少しており、山陰自動車道が、走りやすい高規格道路が幹線道路として機能しているからです。

これがもし有料化された場合、山陰道の交通量は減少し国道9号の交通量は増加し、沿線の道路環境は悪化するでしょう。国道9号はそれなりに整備されているものの、市街地を走りますし集落も多いです。この路線は幹線道路としては不向きです。

それを踏まえると、安易に4車線化や路線延伸のために有料化を行うのはメリットよりもデメリットの方が多いと思います。路線ごとにその妥当性をよく考える必要があるでしょうし、できる限りドライバーに負担を強いない形で財源を確保する必要があるでしょう。

先例:国道201号 八木山バイパスの4車線化と有料化
そんなことを言っていたらさっそく先例が1つ出てきました。



八木山バイパスを4車線化するのに、再有料化して財源を確保するようです。無料化後に交通量が増加し、事故が多発したことを受けて4車線化が決まったようです。

料金の水準にもよるでしょうが、高規格道路を有料化すればそれを避ける車が現道を走るようになり、現道の道路環境が悪化します。バイパスは、本来八木山峠の峠道の国道を改良する目的で建設されたわけですが、にも関わらず有料化して利用しにくくして、走りにくい旧道へ誘導するようになります。

無料化したら事故が増えた、混雑するようになったといいますが、福岡近郊を走る道路であり幹線道路であることから交通量が多くなるのは当然のことであり、当初から4車線で建設すべき路線だったしょう。計画段階で予測は十分できたと思います。そもそも、はじめは暫定2車線で整備するという方針そのものにも問題がありますし、いろいろ見ていくと日本の道路整備の仕方自体に多くの問題があり、まっとうな道路整備をしていればこのようなことは起きなかったはずです。



財源確保というものの、再有料化にも費用がかかるのであれば有料化そのものに意味があるのか?も疑わしくなります。


まとめ
道路の有料化は、その地域の実情や交通量などを考えて検討する必要があると思います。ただし、日本の場合は、高速道路の料金自体が高額で、有料道路そのものを敬遠するドライバーが多いことから、よほど合理的な理由がある場合を除いて、有料化は受け入れられないでしょう。4車線化のための財源確保であれば、ドライバーに負担を強いるのではなく、国や自治体などが費用を出すべきだと思います。

案内標識のわかりやすさについて考える(車線分岐の案内表示)

今回は道路標識のうち、案内標識のわかりやすさについて考えていきます。

案内標識は路線の路線番号とその路線が通過する市町村や字などをわかりやすく案内する必要があります。次の交差点を左折すると~市へ向かう、直進すると高速道路のインターチェンジへ向かう、右折すると市役所へ向かうなど適格な案内を示さなければなりません。また、複数の車線から構成され、かつその先の分岐で一部の車線が分岐するような場合、例えば高速道路のJCTなどがありますが、JCTではどの車線が分岐、減少するのか、どの車線がどの方向へ向かうのか適格に示さなければなりません。日本の場合、特にこの分岐における案内が十分でなく、それどころかドライバーを惑わす標識を多く見かけます。今回問題にするのはこの車線分岐における案内表示です。

どの車線が減少、分岐するのかわかりにくい構造
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わかりやすい例を上げます。これは中央道の双葉JCTの分岐の案内ですが、これは場合によっては誤解を与える案内標識になりえます。右側が中央道本線で直進、左側が中部横断道が左から分岐するということを示しているのですが、これは左車線がそのまま中部横断道へ分岐し、中央道本線へ進む場合は右車線を走行しなければならないという誤解を与える可能性があります。

そんなことはないだろう?普通は間違えないだろう?という人が多いと思います。確かに、基本的に地方の高速道路で本線がそのまま続く場合は、左車線がそのまま他の高速道路になるというケースは少ないので、普段から走りなれている人は間違えることはないでしょう。

ただし、それは普段から車を運転している人から見た視点で、高速道路を走り慣れていない人、運転そのものに慣れていない人は高速道路がそういう構造であることを知っているわけではないので、このような案内を見たら、間違った認識をする人がいるでしょう。左車線がなくなると思い、右側へ車線変更をしてそのまま走り続ける車もいるでしょう。

参考ツイート




これは地方のそれほど複雑でない道路のケースで、これだけでは説明不足だと思うので、他にも具体例を上げていきます。

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これは阪神高速道路のジャンクションの案内標識ですが、この標識は率直に言って非常に不親切な案内だと思います。行き先、路線番号など示されているのになぜ?と思うのですが、一番重要であるどの車線がどのように分岐するのか?言い換えれば、14号線へ行くにはどの車線を、15号線もしくは環状線を走り続けるにはどの車線を走行すればよいのか?という案内がありません。

これは重要でないと思うかもしれませんが、とても重要な案内だと思います。なぜなら、分岐直前までどの車線を走行してよいかわからず、ドライバーが混乱するからです。もっとも、右側から分岐するという表示なのだから、右側を走れば良いだろう?別に問題はないと思う人も多いでしょう。上記の中央道のケースであれば、左側に分岐するだけなのでそれでも誤認は少ないでしょう。ただし、阪神高速のように分岐が複雑かつ、短距離で複数の分岐があるような場合は、ドライバーが戸惑うことが多いため、より正確な案内表示が必要だと思います。なんとなくこれでわかるだろうという案内ではいけません。

上記の阪神高速の場合、厳密には右側2車線が分岐する形になりますし、さらにこの堺線分岐の後、すぐに15号線と1号線の分岐があります。そこでも車線の分岐があることを考えると、単に右車線を走っていれば良いとは言えないでしょう。そこは臨機応変に車線変更をすれば良いという意見もありますが、手前でわかりやすい案内ができるのであればそうすべきでしょう。この場合、どの車線がどのようになるのか明確示すのと同時に、環状線はどの車線を走ればよいのか?15号線へ行くにはどの車線を走り続ければ良いのか?というその先の案内も必要になるでしょう。

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もう1つわかりにくい例を上げます。これは東名阪の亀山JCT手前の案内ですが、一見車線毎に案内が示されているように見えます。付加車線は新名神、中央車線は伊勢道、右車線は名阪国道へ分岐すると理解できます。ところが、亀山JCTでは新名神はともかく、名阪国道は右側の車線から分岐するようにはなっていません。ちなみに名阪国道の場合、亀山ICで左車線から出口へ出て名阪国道へ入る構造になってます。亀山JCTからICまでは少し距離がありますが、この案内に素直に従う人は右車線を走行し続けるでしょうが、ジャンクションを過ぎても名阪国道へは分岐しないので、亀山ICまで右車線を走り続けることになるでしょう。

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名阪国道が分岐する亀山IC。


どうして正確な車線分岐の案内が必要なのか?
なぜなら、ドライバーを混乱させる可能性があるからです。特に上記の高速道路の場合は高速で走るわけですから、たとえ短時間であってもドライバーの判断が一瞬でも間違えば、大きな事故を起こす可能性があります。たとえ事故が起きなくても、ヒヤリハットは頻繁に起きるでしょう。


僕は専門家ではないですし、真に専門的な部分はわかりませんけど、これは別に専門家でなくても運転していれば気がつくことですし、多くの人達はわかりやすい案内にして欲しいと思うでしょう。

もっとも、多くの人は「そんな些細なこと」と捉えるかもしれません。どの程度影響があるのか?は定かではありませんけど、ドライバーを混乱させ、事故や運転の判断ミスをさせる可能性があるということは事実です。どの車線を走ればよいのかわからず、分岐直前で慌てて車線変更をして隣の車線の車と衝突したというケースもあるでしょう。高速道路の場合、少なくとも80キロ以上の速度が出ているわけですから、一瞬の判断ミスや混乱は致命的でしょう。そもそもドライバーが混乱させるような状態は絶対にあってはいけません。

運転中にパニックになると正常な判断ができなくなる。
これは心理学的な側面もあると思いますが、車の運転においては重要なことなので理解しておいた方が良いと思います。人間はパニックに陥ると正常な判断ができなくなり、普通では絶対にやりえないようなことを起こします。なぜならパニックになっている時は、他のことに意識が集中できず判断能力が大きく低下するからです。これは車の運転の場合どうなるかといえば、運転中にドライバーがパニックになり、普段では絶対やらないウィンカーを出さずにもしくは後方を確認せずに車線変更したり、道を間違えたり、より悪いケースの場合はアクセルとブレーキを踏み間違える、赤信号に気付かずそのまま通過してしまう、歩行者や自転車、バイクを見過ごしてしまうということがあるということです。
わかりにくい案内というのは、運転中にドライバーの判断を狂わせ、それによってそのような事故やヒヤリハットを誘発しやすいということです。

ドライバーが気を付ければ良いのではないか?
このような話をすると、必ずドライバーの運転マナー・不注意の問題ではないか?という人がいますが、これは確かにそういう側面もありますが、気を付けるにしてもドライバー側にも限度があると思います。もう一度言いますが、少なくとも高速道路では80キロは出しているわけで、そこでわかりにくい案内表示であっても瞬時に適格に判断して臨機応変に運転するというのはそんなに簡単ではないでしょう。運転に慣れているか、高速道路を走りなれているかのドライバーの技量にもよりますし、その地域の土地勘があるかないか?にもよるでしょう。阪神高速を走りなれていれば、道路構造はほとんど理解しているので、どの車線を走れば良いかわかるでしょうが、運転に慣れている人でも大阪に土地勘のない人は戸惑うでしょう。

わかりにくいにも関わらず、その問題をドライバーの運転に問題があるとするのはおかしいでしょう。

どのような案内標識が良いのか?
個人的には、どのような人でも瞬時に理解ができ、全く誤解を生じさせることがなく、シンプルでわかりやすい案内にすることだと思います。別の言い方をすれば、運転に慣れていないドライバーでもすぐに理解できる案内にすべきだと思います。

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これはオーストラリアのブリズベンのジャンクションの案内表示ですが、どの車線がどの方向に分岐するのか?自分の目的地はどのレーンを走ればよいのか?非常にシンプルでわかりやすいです。Gold coast(ゴールドコースト)へ行くのであればM5号線へ左と中央のレーンを直進すればよく、M7号線のIps wich(イプスウィッチ)へは右車線から。Oxley Cityへは左車線から分岐するという案内標識になります。もっとも、土地勘がないと地名を表示されてもわからないと思いますが、それは日本であっても同じでしょう。僕の場合、ブリズベンの土地勘はほとんどなく、主要な町の名前と路線がどのようになっているのかを把握した程度ですが、それでもこのわかりやすい標識のおかげで迷わず移動することができました。

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これもオーストラリア、シドニーの一般道の案内です。この場合、片側3車線のうち左折する場合、どのレーンを走ればよいのか?というのがシンプルな矢印で示されとても理解しやすいです。交差点に入るまでにこのような案内があれば、ドライバーが戸惑うことは基本的に少ないでしょう。

ちなみに、このような車線ごとに案内を示す方式は世界共通のようで、まっとうな道路行政を行っている国ではこの案内がデフォルトです。ニュージーランドもオーストラリア式ですし欧州はもちろん、中東でもこのような案内が一般的のようです。

参考動画(オランダの車載動画):


参考ツイート:






つまりまとめると、日本の案内標識の一部は上記のようにドライバーにわかりやすくなっておらず、一部では混乱を招くようなものになってるということです。世界標準ではオーストラリアのような案内が一般的であり、その方がシンプルでわかりやすいのであれば、日本もこのようなわかりやすい方式に統一すべきでしょう。


なお、日本でも上記のように車線毎の案内標識を取り入れるようです。個人的には矢印だけで車線の点線はいらないと思います。

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自分なりに標識を作成してみました。車線ごとに行き先、道路名称を示してます。

下記の方のサイトでも、車線毎の案内標識の問題について扱っています。とても参考になります。
参考:みちのく案内標識よもやま話

なお、案内標識云々に関してはこれ以外にも問題として指摘されている部分があります。参考ツイートをいくつか掲載させて頂きます。











補助標識を取り付けるのではなく、1つの標識にシンプルかつわかりやすくすべてを収めるべきです。上記のように複数箇所に補助標識があるとドライバーの意識を分散させ、頭上のメインの標識を見落とすことになります。




脱自動車社会と偏った交通政策の問題点【道路も鉄道も必要】

偏った交通政策とは、鉄道・バス・自動車・自転車などのどれかに傾倒しすぎた政策のことを言います。具体的に言えば、道路整備を重視するあまり鉄道やバスを疎かにしたということですね。日本の場合は地域によって異なるも、全体的に道路整備が重視されている傾向が強く、その一方で鉄道は、JRや私鉄の貢献で便利になっている側面はあるものの、特に地方を中心に利用者が減少し車社会になってきている傾向があると思います。

その地域の交通事情を考えると、そうならざるを得ない事情もありますけど、やはりそういった自動車依存中心の傾向は改めるべきだと思います。ただし、これは逆にも言えることで、鉄道やバスを重点的に整備するがあまり、またはサイクルシフトを無理に進めるがあまり、道路整備を疎かにするというのも良くないことだと思います。何が言いたいかといえば、バランスの取れた交通政策を行う必要があるということです。


諸外国の政策、道路整備と公共交通機関の整備
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自動車依存の脱却という点がよく言われますが、世界的にもそういう動きが多くあります。先進諸国ではアメリカも欧州もオセアニアも、途上国でもアジアや南米の主要都市でもそういった動きがあります。都市部にはLRTやBRTが建設され、自動車の流入規制(例えばロードプライシング)や、市街地の道路の車線数を減らし代わりに歩道として再整備にする政策、自転車レーンとして整備するなどの政策が行われています。

しかし、道路整備はどうでしょうか?脱自動車依存だからといって全く行われていないか?といえば、道路整備も普通に行われています。

まだ高速道路網が完成していなければ、引き続き新規路線を建設していますし、既存路線の改良、高速化、集落を通過する部分をバイパス化するなどの事業が行われています。ある程度道路網が完成している地域では、新規建設こそ少ないものの、道路の車線数を増やすなどの事業も行われてます。

例えばオーストラリアやニュージーランドを例にあげると、オークランドやシドニーでは新規鉄道路線の建設、LRT、BRT路線の延伸なども行われている反面、増える交通需要に対応するため、高速道路の建設や車線数を増やすなどの事業も積極的に行われています。シドニーとブリズベンを結ぶ国道1号(約1000km)は全線を片側2車線化、高速化する工事も行われており2020年に完了する予定です。

自転車大国といわれるオランダでは、確かに都市部にLRTやBRT建設され、全土に自転車レーンも建設しています。一方で道路網はどうかといえば、狭い国土にもかかわらず、高速道路網が充実しています。これは日本以上によく整備されていますし、しかも車線数も多く(片側3車線以上の区間が多く、5車線になる区間もある。)無料で通行できます。これは昔からそうだったのではなく、ここ最近でも拡張は行われているので、ここ数十年で整備されてきたのでしょう。

このような状況は車載動画を見るとその一面を理解できます。オランダの車載動画を見ていて感心することは、単に高速道路が整備されているだけでなく、主要幹線道路が完全に高規格道路として整備されており、一般道は完全に地域の生活道路であるという点です。日本のように生活道路が幹線道路としても機能しているようなケースは基本的にないでしょう。例えば、オランダの主要都市であるアムスデルダムからロッテルダムまでの主要幹線道路は高速道路A4号線です。間違っても、集落を通過する平面交差点の多い一般道が都市間移動の道路ではありません。


参考動画(他の方の動画です。)

オランダを例に挙げていますが、西欧ではどこも同じでしょう。フランスのパリからベルギーのブリュッセルまで集落を通過する一般道が都市間移動の幹線道路として機能しているということはないでしょう。オーストラリアでもゴールドコーストからブリズベンまでの約90kmを移動するのに、M1、M3という高速道路を使うのが一般的です。

少し話がそれましたが、つまり何が言いたいかといえば、脱自動車の政策が勧められている反面、自動車交通への政策もちゃんと並行して行われているということです。

自動車依存から完全に脱却することは不可能
いくら脱自動車を唱えても、今後も自動車交通に頼らざるを得ない状況は続きます。自動車に変わる新しい乗り物が発明されて、それが普及しない限りは、完全に自動車に頼らない生活は無理でしょう。もちろん局地的には、自動車を排除して鉄道やバス、サイクルシフトにしていまうことは可能でしょう。ですが、それはほんの一部の地域に限定されます。

脱自動車が進められるのは主に都市部
LRTやBRTの建設、自転車利用の推進など、積極的に脱自動車依存の政策が行われるのは主に都市であって地方は当分の間は車に頼らざるを得ないでしょう。都市というのは首都圏や京阪神都市圏も含まれますが、地方でも中規模以上の都市も含まれます。首都圏や京阪神は既に自動車分担率が低いことを考えると、今後の脱自動車依存の政策は地方都市がメインになると思います。

どの程度の都市規模で脱自動車依存の政策が現実的になるのかといえば、はっきりした定義はないですけど、最低でも人口が20万人以上の都市であればLRT、BRTの建設などは現実的になるのではないでしょうか?もっとも、サイクルシフトに関しては自転車が地方の田舎でも気軽に利用できることを考えると、あんまり人口うんぬんは関係ないのではないかと思います。これは1つの都市ではなく都市圏単位で考える必要があるでしょう。高知市1つで考えるのでなく、高知都市圏という高知とその周辺を含むエリアで考えるということです。なぜなら、都市圏単位で考えた方がその都市の本当の都市規模がどの程度なのかが把握できるからです。

現在、LRTの建設が行われている宇都宮市の人口は約52万人、都市圏は約112万人です。LRTが開通し、市内に路面電車もある富山市は人口約42万、都市圏では64万人です。




ウルムは都市圏規模で見ても10万都市のようです。日本の場合、全国各地に中規模以上の都市が点在していますし、人口も多いですからLRTやBRTの潜在的な需要は少なくないはずです。それらを建設しなくても、既存の路線の利用を促進させるだけでも十分な場合もあるでしょう。欧州の導入例を見ると、少なくとも地方の主要都市、数十万人規模以上の都市圏であれば、自動車分担率の低い都市にすることは可能なのではないかと思います。

LRTやBRTに関しては下記の本が参考になります。
LRT 次世代型路面電車とまちづくり (交通ブックス)
参考文献:LRT 次世代型路面電車とまちづくり (交通ブックス)


バスがまちを変えていく BRTの導入計画作法
参考文献:バスがまちを変えていく BRTの導入計画作法

地方(人口が少ない地域)は今後も自動車中心の社会にならざるを得ない。
一方で、地方の中でも人口の少ない地域や鉄道やバスの利用者自体が見込めない地域は、依然として自動車中心の社会になるでしょう。これはそうなるというよりそうならざるを得ないです。北海道の道東地域、例えば紋別市で自動車依存から脱却できるかといえば、普通に考えても無理でしょう。

鉄道やバスなどの公共交通機関は上下分離式というインフラの管理(下部)と運営・運行を行う管理(上部)を分離し、下部と上部の採算を独立させる、公的機関がインフラ整備に関与し運行は民営化にフォーカスすることで採算性が悪くても運営できる方式をとっている路線があります。欧州のLRTなどは、この上下分離式が一般的であり、採算性が悪くても運営されている路線がほとんどです。

この方式が一般化すれば、地方の都市でも各地に次世代公共交通機関を走らせることが可能になりますし、赤字の鉄道でも公的機関の関与によって運営させていくことが可能です。

しかしそれでも限度があり、上下分離式でも人口が少ないエリアに公共交通機関を走らせることは難しいでしょう。そもそも路線があっても利用されないケースもありますし、あったとしても車のほうが便利というケースは多いです。どのような方法で運営されても利用されていなければ全く意味がありません。

つまり言いたいことは、まだまだ道路整備やそれに付随する政策は必要であり、地方は依然として自動車社会にならざるを得ないということです。これは日本以外でも先進国はどこもそうでしょう。


また、道路環境の改善を考えたときに、新規道路の延伸や拡張は、程度を超えれば確かに自動車依存を加速させますけど、一方で市街地の混雑の緩和、交通事故の減少にも貢献します。市街地を走る車が減少すれば、それだけで歩行者や自転車の交通環境も良くなります。それを考えれば、集落を回避するバイパスや自動車専用道路が必ずしも自動車依存を強める傾向にはなりえないし、むしろ歩行者や自転車の交通環境改善の政策の1つとして考慮されるべきでしょう。

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地方においては改良が必要な道路や集落をバイパスする道路など必要な道路は少なくない。


地方ができる対策はあるか?
もっとも地方でも自動車社会脱却に対する政策がないわけではないです。シェアショーファー(IT活用型配車システム)や、車のシェアの一般化などの政策もあります。地方の場合は、自動車社会にならざる得ない事情はありつつも、その中でその程度の度合いをいかに減らしていくか?自動車の台数自体をいかに減らしていくか?という点が重要になるでしょう。シェアショーファーが一般的になれば、高齢者が車を持つ必要はなくなりますし、彼らは車がなくても生活できるようになりますよね?1人1台と言われていても、たとえば家族4人で1台か2台の車をシェアするようになれば、1人が1台の車を持つ必要はなくなります。シェアビジネスが一般化すれば必要な時だけ車を利用でき、保有する必要はありませんよね。いずれも自動車の台数を減らすことになるわけです。

また、自動車が中心でありつつもいかにしてそのデメリットを減らしていくか?という点も重要でしょう。歩行者や自転車との交通事故が多いのであれば歩道や自転車レーンを整備する、自動車を高規格道路にシフトさせ、市街地の交通量を減らす。交差点での事故や信号無視が多いのであれば、ラウンドアバウトを設置する方向性もあります。ドライバーのモラルが問題になるのであれば、取締りの強化などやモラル改善、罰則の強化も必要でしょう。これについては長くなるのでまた別の記事で書いていく予定です。単に自動車そのものを規制するよりも自動車交通の視点から取り組める改善策もあるわけです。

都市部における道路整備の必要性
もともと自動車分担率の低い首都圏や京阪神はどうでしょうか?もともと鉄道利用者が多い地域ですが、新線建設や既存路線のサービス改善など余地は十分にあると思います。しかし首都圏に関しては、道路インフラ自体が交通容量に対して圧倒的に不足しています。鉄道も朝夕の通勤ラッシュを見れば、既にキャパシティオーバーしていますから、自動車利用者を鉄道やバスへシフトさせるというのも得策ではないでしょう。
もちろん、自動車利用を自転車にシフトさせるという方向性もありますけど、それもどの程度進められるのか?疑問があります。

おそらく、脱自動車政策を行っていても限界があり、仮にそれがうまくいっても交通量の絶対数が多く渋滞が酷い実態は変わらないでしょう。外環道が開通することで都心の混雑は改善されるかもしれませんが、それでも渋滞がなくなることは考えられないです。むしろ、別の箇所で新たなボトルネックができる可能性もあるでしょう。

それらを踏まえると、首都圏の場合は新規道路建設(高規格道路建設)は一定数必要だと思います。一方で京阪神の場合は、首都圏ほど切迫した交通事情ではないです。京阪神については別の機会に考えていきたいと思います。

ここでは首都圏の例を上げましたが、それ以外の地域を見ていくと交通事情は地域によって異なり、一概に言えない部分が多いです。東海地方のように道路整備が進んでいる地域もあれば、遅れている地域もあります。鉄道路線があるにもかかわらずそれが有効活用されていない地域もあれば、自動車分担率の低い都市もあるでしょう。地域の交通事情もよく考慮して、その地域に合った政策を行う必要もあるでしょう。




上記のツイートにもあるように、市街地と郊外では自動車や公共交通機関の利便性は異なるので、都市部はバスや鉄道、郊外は車利用を中心として考えるのが妥当でしょう。

まとめ
僕の持論は、単に自動車依存からの脱却を目指すのではなく、すべての交通手段に対する対策を複合的に行っていく必要があるということです。

もちろん度を超えた自動車依存への政策は改めるべきでしょう。しかし、道路建設や改良が全く必要なくなることはありえず、今後も必要な道路は建設し、道路の改良や拡張・集落回避のバイパス建設などは、必要な箇所は行っていく必要があると思います。また、利用されていない高速道路は無料化、もしくは有料高速道路の料金の値下げなどを行い、市街地の道路から高規格道路へ自動車をシフトさせる必要もあります。これは交通量減少によって市街地における歩行者や自転車と、自動車の事故の絶対数を減らす効果があります。

同時に、都市部を中心に渋滞対策や次世代公共交通機関の建設、既存の鉄道の見直し、有効活用、自転車レーンや自転車専用道路の建設、可能であれば中心部から完全に自動車を排除する、都市部や市街地の道路を中心にロードプライシングの導入なども行う必要があるでしょう。





東北中央自動車道について考える。必要性・車線数など

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東北中央自動車道は福島県相馬市から秋田市横手市へ至る自動車専用道路です。ここでは、国道13号に並行する部分、福島~横手までの区間について書いていきます。

東北中央道の開通状況・車線数・交通量など
山形・福島県では福島JCT~南陽高畠IC、山形上山IC~東根IC、尾花沢IC~新庄北ICの区間が開通しており、秋田との県境では主寝坂道路が国道13号のバイパスとして開通しており、秋田県では院内道路・横手湯沢道路が国道のバイパスとして開通しています。東北中央道は全線が繋がっておらず部分開通している区間が多数を占めており、現在は高速道としての機能は限定的です。

車線数は全線が暫定もしくは完成2車線で、追い越し車線を除けば4車線で整備されている区間はありません。

交通量ですが、現在では以下のようになっています。
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参考:東北中央自動車道(福島JCT - 横手IC) 交通量国土交通省交通センサスおよびウィキペディアより。
オレンジは無料区間青は有料区間を示す。

2010年は高速道路無料化実験を行ったため、全区間が無料で通行できました。これを見ると有料区間では交通量が少ないのに対し、無料区間は交通量が多く利用されているのがわかります。ただし、無料区間でも新庄以北は人口そのものが少ないため、全体的に交通量は少ないです。

東北中央道の必要性について
一見するとこの路線は必要性の薄い路線として見られると思います。上記のように交通量が少ない実態もありますし、国道13号だけで十分で建設しなくても良いのではないか?と思われます。

ただ、現状では大部分が完成していますし、ほぼ全線に渡って事業化が進められています。今更事業を中止しても中途半端になるだけなので、この路線はちゃんとした形で完成すべきでしょう。ここから先は、区間別に考察していこうと思います。

福島~米沢
2017年に開通した区間です。この区間は栗子トンネルという全長約9kmのトンネルを走行する区間で、冬における福島米沢間の安定した交通を確保するために建設された区間です。冬の間、たびたび通行障害が起きている区間だそうで、仮に交通量が少なくてもそれを踏まえると必要性があった道路と見てよいでしょうが、対面通行のトンネルが約9kmも続くというのは、安全性の観点からするとどうなのか?という問題もあります。

もっとも、今更必要性うんぬんを言っても意味はありません。開通速報の交通量がわからないため具体的にどれくらい利用されているのかわかりませんが、無料なのである程度利用されていると考えてよいでしょう。


参考動画(ほかの方の動画です。)

米沢~新庄
東北中央道の中で一番必要性のあるのはこの区間だと思います。この区間は小都市が連続している区間であり、国道13号もバイパス化された区間がほとんどで交通量が多いです。

現在東北中央道の交通量は少ないです。しかし、2010年に無料化された際、米沢南陽道路全線と山形上山IC~東根IC間は交通量が1万台を超えており利用されていました。また、無料区間であり国道13号のバイパスとしての機能もある野黒沢ICから新庄ICまでも交通量が多いです。

tohokuchuou obanazawa
東北中央道、尾花沢市付近。交通量は1万台を超える。

これらを踏まえると、この区間は無料の高速道路で整備されればそれなりに利用されることがわかります。おそらく米沢北IC~新庄北ICまで全線が無料でつながれば、交通量は平均1万~2万台程度になると見てよいでしょう。また、同時に4車線で整備される必要もあるでしょう。4車線化が検討される目安は一般的に1日当たり1万台の交通量であり、交通量の数値はこれを満たしています。この区間が整備されれば山形の人口密集地帯を高速道路が縦断する形になり、山形の道路事情はかなり便利になるはずです。

上山バイパスと東北中央道
しかし、この区間については一部区間は高速道路の必要性が問われる区間も存在します。国道13号は南陽市から尾花沢市までは一般道ながら走りやすいバイパスが整備されており大部分が片側2車線で整備されています。このうち上山から尾花沢までの区間は比較的市街地を通過する上に混雑もあるため高速道路の必要性はありますが、上山から南陽にかけては国道13号もかなり高規格で整備されており、国道でも十分快適な移動が可能な区間です。

これはわざわざ高速道路を建設しなくても、現道を高速道路かもしくはそれに準ずる規格に改良して、断続的に高速走行できるようにできないのかと思います。
この区間は暫定2車線で建設されており4車線への拡張もできます。平面交差もありますが、その部分は立体化にするなどして改良することも不可能ではないはずです。

海外では幹線道路を高規格化する際に、一部区間は一般道を拡張するなどして改良して高規格にするケースが多く見られます。例えば、オーストラリアの国道1号の一部の区間では道路の高規格化が行われていますが、拡張ができない部分はバイパスを建設し、それ以外は対面通行道路を4車線に拡張、平面交差がある場合は立体交差に改良、もしくは平面交差でも合流車線や左折、右折専用レーンを設けるなどするか、場合によってはラウンドアバウトにするケースもあります。確かにそのほうが新たに土地を収容して建設するよりも、コストはかからないし建設期間も短縮することが可能でしょう。

東北中央道の場合暫定2車線で整備されますが、仮に4車線化するにしても新規道路を建設して更に4車線化を行うよりもバイパスを4車線化しながら高規格化した方がコストや期間も削減でき合理的なはずです。日本にはこのように比較的走りやすいバイパスがありながら、更にそこに並行して新規に高速道路を建設するケースが多く見られます。これは道路建設の二重投資であり無駄が多いです。もちろん必要性は決して低くはないと思いますが、こういうケースは新規に道路を建設するのではなく、高規格道路へ改良するという方向性も検討されて良いと思います。

参考動画(他の方の動画です。):

前半部分が上山バイパス。

新庄~湯沢
東北中央道の中で必要性に疑問が出るのは新庄北IC~雄勝こまちIC間だと思います。現在、新庄から金山までは事業中であり、金山~湯沢までは主寝坂道路・院内道路など部分的に開通しており、さらに開通していない区間でも道路事業が行われています。

この区間は全体的に交通量が少ないため、交通量云々で必要性を言うのであれば無駄な路線としてあげられるでしょう。しかし、冬の安定的な交通量確保や、山間部の道路改良・部分的にある集落回避などを考えれば、全く必要ない路線とは言えないでしょう。

この区間については4車線で整備せずとも、道路改良という名目で2車線の高規格道路を建設する方向性で良いのではないかと思います。

tohokuchuou syunezaka
東北中央道、山形と秋田の県境付近、この辺りの交通量は少ない。

湯沢~横手
雄勝こまちIC~横手ICの区間です。この区間は既に開通しているので不要・必要の話をしても意味がありませんが、現在のように湯沢IC以北が有料のままだと有効活用されないと思います。沿線の市街地を通過するバイパスという位置づけでもありますから、無料開放してこの道路を幹線道路として利用させるようにした方がよいでしょう。

上記の交通量の数値を見ると、2010年の無料化の際には湯沢IC以北が交通量が1万台を超えています。全通するとどれくらい交通量が増えるのかはわかりませんが、湯沢IC以北の4車線化についても検討して良いのではないでしょう。

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東北中央道、湯沢市付近。横手市から南へ進むにつれて交通量が減少する。

まとめ
全体としては、無料で整備されれば並行する国道13号の混雑緩和・バイパス機能を持つようになり、ある程度利用される道路になると思います。それを踏まえると東北中央道は全線無料にすべきでしょう。また4車線化は米沢北IC~新庄IC・湯沢IC~横手ICの区間が検討されて良いのではと思います。

一般道の制限速度について考えるその1【市街地や幹線道路の制限速度】

ここでは一般道制限速度について考えてみます。一般道法定速度60キロとなっており、60キロを超えて走行することはできません。一部、例外で70キロや80キロで走れる道路もありますが数は少ないです。自動車専用道路においてはその限りではなく、70キロ~100キロで走れる区間も存在します。

なお、規制速度の緩和を考えるにあたり前提として、現在ある規制速度+10k~20k程度の速度違反は取り締まりを受けないなどいう暗黙の了解は廃止する必要があります。あくまでも、厳密に規制速度を守り、それを超えて走るドライバーは取締りを受けるという欧米のような形に変える必要があります。

市街地の道路の規制速度
一般道の場合、道路事情が複雑なこともあって一概に何キロにすればよいとは言えません。市街地の場合は、多少低めの規制、現在のような規制速度でも安全を考慮すれば理にかなっているといえ、このままでも問題ないケースが多いでしょう。
ある程度の基準を設けるのであれば、住宅街や裏路地の狭い道路などは20-40キロ、対面通行の確保されている道路は50-60キロ、片側2車線以上ある道路は50-60キロがよいでしょう。

一部で、規制速度と実勢速度があっていない道路も存在します。これはその道路の実態を踏まえて適正な規制速度にした方が良いでしょう。一方で、規制速度が適正でもドライバーが守らないような場合は、いかにドライバーに速度を守ってもらうようにするか?を考えたほうが良いでしょう。

road in town
市街地の道路、このような1車線の道路は50k/h程度が望ましい。

road in city
市街地の道路だが片側3車線ある。このような場合は50-60k/hが望ましい。

バイパス道路・高規格道路の制限速度
一般道路の中で特に規制速度と実勢速度の乖離が激しいのはバイパスなどの高規格道路です。一般道における法定速度は60キロですが、実際、それ以上の速度で走っている車が多いです。赤キップ、免停ゾーンである+30キロを超えて走る車も見られ、規制速度が全く実態にあっていないケースが多くあります。規制速度を大々的に見直すとすればこの部分ですね。

道路状況によって~80キロまで規制緩和が可能。
信号がない、平面交差がない、交差する道路とは全て立体交差で構成しているバイパス道路は設計速度80キロで作られている道路がほとんどなので、このような道路は80キロ規制にすべきだと思います。

bypass.jpg
愛知県の名豊国道。名古屋から蒲郡まで信号のない高速道路のような道路。このような道路は制限速度80キロでも問題ない。

規制緩和として、国道2号の岡山バイパスの一部や国道7号線の新潟バイパスなどが70キロになりました。しかし、これら道路も同様に高速道路のように信号や平面交差がなく、設計速度は80k/hで設定された道路なので80キロまで速度緩和が可能でしょう。

なお、設計速度以上の速度でも安全に走れる道路は数多くあり、例えば設計速度が60k/hであっても80k/hの規制をかけることは可能です。設計速度は安全にその道路を走れる速度ではあるのですが、この速度を超えたら安全に走れなくなるということを明確に規定しているわけではないので、より速い速度で安全に走れるのであれば、高め規制速度を設定すべきでしょう。詳しくは下記の記事を参考にしてください。
設計速度に関する参考記事:争点は速度規制の合理性と取締りの妥当性

なお、高規格道路やバイパス道路とされる道路でも、自動車専用道路であり案内標識も高速道路と同じ緑の道路標識、高速道路とほぼ変わらない規格で設計されている路線もあります。このような路線は一般道とされている路線もありますが、その道路の設計速度や実勢速度などに応じて規制速度を決めるのが良いでしょうし、高速道路と規格が同じであれば、高速道路の基準で決めるべきでしょう。


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南九州自動車道は国道3号のバイパスだが、道路規格は高速道路であり、高速道路の基準で考えるべき。80k/h以上の規制も可能。

この一般道でありながら自動車専用道路で高速道路とほぼ変わらない道路というのは、非常にわかりにくいのですが、日本の場合、道路の種別区分が非常に複雑であるため、このような例がいくつかあります。僕も書いていてよくわからなくなるのですが、個人的にはこの道路の種別、一般道・高速道路などの区分けを単純にわかりやすい形に変える必要があると思います。これについては別の記事で書いていく予定です。

信号、平面交差のあるバイパス道路の規制速度は何キロまで可能か?
速度を出して走れるバイパスでも、平面交差や信号のあるバイパスもあります。このような場合はどうでしょうか?このような道路でも設計速度が80キロに設定されていることがあります。その場合は80キロに緩和しても良さそうですが、交差点を曲がる車や裏道・店舗から出てくる車などがいることを考えると単純には考えられないと思います。

このような道路の実勢速度は、沿線が市街地化している場合は設計速度よりも低くなる傾向にあります。少なくとも80k/hやそれ以上の速度で流れていることはないでしょう。もしあるとすればそれは問題でしょう。

bypass2.jpg
たとえば、上記の道路は福岡近郊の国道3号バイパスで片側2車線以上で走りやすい道路ですが、ところどころに信号交差点があり、沿線にロードサイド店舗が多い道路です。しかし、部分的に立体交差になっている箇所もあります。現在ではこのような道路の規制速度は60k/hであることが多いです。

海外の例を挙げてみると、たとえばオーストラリアでは市街地の多車線道路で信号や平面交差の多い道路でも70-80キロ規制になっている道路が普通にあります。
sydneyroad
オーストラリア、シドニーの一般道。市街地の一般道ですが、周辺に店舗も少なく、障害になるものが少ないため70キロになっています。動画版として視聴したい方はこちらへ

80kroad
同じくシドニーの道路。一般道でもバイパスのような道路は障害になるものが少ない上に、左折レーン、右折レーンが完備しているため信号交差点があっても、制限速度が80キロになっています。

オーストラリアやニュージーランドでは郊外では制限速度が100k/hですが、集落の入り口部分、市街地ではないが、建物がまばらに存在するようなエリア、また集落であってもその集落自体が小規模の場合は規制速度が70-80k/hに指定されています。

世界の道路事情などを珍味し道路基準などを調べてみると、平面交差のある道路の一般道では80k/hが限度であるといわれています。国によってはそれ以上、90~100k/hに指定されているケースもありますが、これは郊外の規制速度であるケースが多く市街地の道路とは別です。

一般的に規制速度の高い一般道路は、高速道路やそれに準じた道路に改良されているケースが多くあります。例えば、平面交差を極力なくし、平面交差は幹線道路同士の交差点のみにしてその部分のみ規制速度を下げるとか、平面交差では右折、左折、直進レーンをそれぞれ設け、本線へ入る車への合流レーンを設けるなど、本線を走る車両とそれ以外の車両との干渉をできる限り少なくするような措置が取られています。日本のバイパスのように連続立体交差にしたり、また沿線に店舗や住宅など建物を建てる事自体を規制する(沿線をロードサイド店舗にしない)、または建物が多くても、側道と本線と分けて本線は高速で走行できるような構造にするといった形で整備されているケースもあります。

もっともこれは国によって異なる部分が多いですし、文章ではわからないと思うので、参考動画を上げておきます。


参考動画1:オランダのN11号、ほぼ高速道路規格で建設された道路、制限速度100k/hだが、一部で信号機付きの平面交差点があり、その部分では70k/hまで下がる。オランダではAロードが高速道路に相当し、Nは国道に相当する。(他の方の動画です。)


参考動画2:ロンドンの市街地の動画。0:00 - 10:58まではA3(国道3号)の一部を走行する。冒頭は市街地で制限速度は40mile/h(約65k/h)、途中から信号のないバイパスのような道路になり50mile/h(約80k/h)になる。側道、信号交差点、立体交差、合流、左折レーンなどあり。(他の方の動画です。)


参考動画3:ニュージーランドの国道1号線、市街地に入る手前から市街地までの動画。冒頭は制限速度が80k/h。


以上を踏まえると、走りやすい道路であっても、ロードサイド店舗が多い、もしくは沿線に建物が乱立している道路は規制速度は60k/h(ケースによってはそれ以下)が適切だと思われます。ただし、これは道路の運用方法によって70~80k/hに引き上げることは可能ではないかと思われます。要するに本線車両の流れをできる限り阻害せず、安全性が高いかつ走りやすいような構造にしてあれば良いわけで、これは諸外国の道路をもっと研究する必要があるでしょう。同時に道路の改良と規制速度の引き上げをセットで考えていく必要があると思います。

一方で、平面交差があっても沿線に建物がまばら、もしくはほとんどないような道路であれば70~80k/hに緩和することは可能でしょう。


市街地と幹線道路における規制速度について書きました。次回は郊外の規制速度(非市街地における規制速度)について書いていきます。






Appendix

プロフィール

Yasu1100

Author:Yasu1100
ドライブ、旅行好きの30代。
道路、運転マナー、海外の道路事情について、自分の思うこと、経験に基づくことを書きます。

2005年に原付で公道デビューし、2009年に4輪デビュー。2014年にオーストラリアへ渡航し、海外ドライブ開始。日本と海外を行き来しながら、生活を始める。
バイク、車で走った距離はおそらく10万キロ以上。1回も交通事故を起こしていないのは自分の自慢です。

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